これに対し、被害者支援財団は民法487条の「債権者が弁済を受けないか、受けることができない場合、弁済の目的物を供託できる」という条項を根拠に「供託官の裁量を超えている」として提訴した。被害者支援財団は一審で敗訴、現在二審が争われている。韓国政府の弁済案に反対する「韓日歴史正義平和行動」は「政府の供託異議申し立てを裁判所が棄却したことは、事実上尹錫悦政権の第3者弁済方式に対する破産宣告」だと主張する。 司法関係者は判断が大法院まで持ち越されるとみている。
結局、「第3者弁済」方式を採用した尹錫悦大統領の決断が完全に成功するかも含め、今後の韓日関係も大法院の判断にかかっているとの観測が聞かれる。大法院は1965年の韓日請求権協定、徴用工被害者に6000億ウォンを補償した05年官民委員会の決定を無視した賠償判決で韓日関係が悪化するきっかけをつくった。日本とは異なり政府の決定に積極的に介入する「司法積極主義」の影響を受けたものだったが、こうした傾向が続けば、韓日関係が再び悪化する材料になりかねない。
実際に韓国政府の第3者弁済案を拒否した原告4人は大法院に速やかに「特別現金化命令」を出すよう要求している。大法院による賠償判決後、被告企業が賠償に応じないとして、原告のイ・チュンシク氏は日本製鉄の株式を差し押さえた。ヤン·クムドク氏(女性)ら3人は三菱重工業の商標権と特許権を差し押さえた。それでも被告企業が賠償に応じないため、差し押さえ命令に続く特別現金化命令を申し立てた。