こうした挑戦に効果的に対応できるようにしてくれる「解決士」が、まさに国防AIというわけ。最近、あるセミナーで公開された内容によると、国防科学研究院(ADD)はAIを活用して、北朝鮮内部の広い地域で撮影された各種の映像情報から移動式ミサイル発射台を速やかに識別できる技術を開発中だ。ここには、ぼんやりした衛星写真の解像度を高めて鮮明な写真にしたり、偽装された移動式発射台を探し出したりする技術も含まれている。このほか、数百基の敵の群集ドローンを攻撃して対応する新たな群集ドローン、AIパイロット、自律走行無人地上車両、サイバー防御システム用国防AIなども開発されている。
2019年から来年までの国防中期計画におけるAI事業予算は8410億ウォン(約873億円)程度だ。現在、AI関連の国防技術課題は63件で、第4次産業革命技術に関する課題の中では最も多い部類となる。だが専門家らは、国防AIをきちんと位置付けるためにはまだ乗り越えるべき課題が多い、と指摘する。セキュリティー上の理由から、各種のデータの共有・公開に対する制限が多く、AI技術の開発には大きな困難が伴うという。国防AI開発および拡散を持続的に推進する国防ガバナンスが不十分な点も問題だ。韓国国防技術学会のパク・ヨンウク会長は「国防AI委員会など、民軍融合型AIコントロールタワーが必要」と語った。プラットフォームを米国などに依存していることも足かせになりかねない。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は今年5月末、韓国軍首脳部の昇進・補職申告の席で「軍事戦略・作戦概念をはじめとする国防の全分野で、『第2の創軍』レベルの革新によりAIに基づいた科学技術強軍になれるように国防革新4.0を強力に推進せよ」と指示した。韓国政府と韓国軍当局は、口だけで強調するのではなく、切迫感を持って国防AIの開発および導入へ積極的に乗り出し、科学技術強軍へと生まれ変わらなければならない。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者・論説委員