しかし金与正氏が談話で「首脳会談」に言及したことについて、青瓦台と韓国政府・与党は一斉にこれを歓迎した。青瓦台は非公式の形で「談話の内容を慎重かつ綿密に検討している」とコメントしたが、内部では「南北米対話が実現する糸口になるのでは」との期待が感知されている。韓国統一部(省に相当)は「北朝鮮も南北関係の早期回復と韓半島の平和と安定を望んでいる」とした上で「(首脳会談への言及は)意味あるものと評価している」とコメントした。韓国与党・共に民主党のイ・ヨンビン・スポークスマンは「文大統領は終戦宣言に向けて力を発揮するよう国際社会に求めた」と述べた。
しかし北朝鮮は今年8月にも南北通信連絡線をいったん復元したが、韓米連合訓練を口実にわずか2週間後に再び一方的に切断した。北朝鮮は2018年に南北首脳会談を3回行い、「敵対行為の根絶」を骨子とする9・19軍事合意を締結したが、現状ではこれも守られていない。北朝鮮は昨年、西海で韓国の政府職員を射殺・焼却し、最近はさまざまな新型ミサイルの発射や寧辺核施設の再稼働など、安全保障上の脅威となる行動を続けている。南北が終戦宣言や連絡事務所の復元、首脳会談などに合意した場合でも、北朝鮮はこれらをいつでも破棄できるということだ。
かつて北朝鮮外交官だった韓国の保守系野党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員は「終戦宣言を通じて南北が『相互尊重』の原則で一致すれば、韓米は北朝鮮に非核化を求める大義名分を失ってしまう」「金与正氏の談話の中で、自分たちが見たい部分だけを過大に解釈し、北朝鮮が望む終戦宣言というわなに落ち込んでしまった場合、これは自ら北朝鮮の核の人質となる『従属宣言』になってしまうだろう」と警告した。