「CCTV設置論者」は、低コストで効率良く市民を保護することのできるのがCCTVだと主張する。2019年の上半期だけで、CCTVを通じて1万7079人の犯人を捕まえたという統計(共に民主党のイ・ジェジョン議員室の資料)もある。京畿大学犯罪心理学科のコン・ジョンシク教授は「CCTVは潜在的犯罪者に対して恐怖を与え、犯罪を諦めさせる効果もある」と補足する。
こうした意見が大勢を占めるようになった背景には、韓国人の根強い不信が垣間見られる。3月に韓国行政研究院が発表した韓国国民の他人に対する信頼水準は、4点満点中1.9点にとどまった。互いを信じられないため、全てを記録して証拠として残そうと主張する声が上がっているのだ。プライバシーの侵害、人権侵害、情報流出などに対する懸念は後回しとなっている。保育園に務める保育士のAさん(26)は「誰かに見られているという思いから嫌な気分にもなるが、父兄に疑われても確実な証拠となるため、CCTVの設置に賛成する」と複雑な心境に触れた。成均館大学社会学科のク・ジョンウ教授は「現在の韓国は社会的信頼度が非常に低下している」とし「CCTVの設置を主張する側が支持されているのは、互いが信じられずに共同体意識が崩壊した韓国の状況をよく物語っている」と指摘した。