大部分の領土紛争が平和的に解決されたのだと安心できるだろうか。著者は、新しい韓国語版の序文で「中国はあらゆる側面で過去より国力が強くなり、より深刻な摩擦と葛藤も甘受できるようになった」とつづった。強くなった中国は米国・オーストラリア・韓国などを経済的に圧迫し、経済的侵攻を行っているというのが現実だ。
この状況下で、ハミルトン教授は「『経済脅迫』を通して中国に経済的に依存する国から政治的譲歩を引き出した」と指摘する。韓国も直面したので分かる話だ。結局この2冊は、中国の野心は領土紛争よりも経済と文化の領域で現れる、ということを示している。また、中国は一段と相手にし難い国になるだろうという見方も一致している。
ハミルトン教授は、韓国語版の序文に「オーストラリア政府は北京(中国共産党)のいやがらせに立ち向かったが、韓国の政治指導層は早々とおじけづき、『戦略的あいまいさ』という惰弱な態度を維持している」と記した。食べていかねばならないので実利のためには仕方ない、という考えも抱くが、彼は著書で覚醒を促す。「『中国がわれわれ(オーストラリアの)運命だ』という思考は、実のところ中国のおかげで生計を維持している人々や企業が誇張し、メディアがばらまいたものだ。われわれは自ら選択したときにのみ、中華世界で生きることになるだろう」。韓国はいつまで選択を先延ばしにできるだろうか。
ヤン・ジホ記者