「われわれが選択しなければ、中華は彼らの夢想にすぎない」

対中貿易依存度が40%に達するオーストラリア、昨年から声を上げ始めて紛争に

 ハミルトン教授は、オーストラリアの政界・財界はもちろん学界にまで入り込んだ「チャイナ・マネー」を追跡する。中国の招商局グループは2014年、軍事基地と隣接するオーストラリアの石炭輸出港ニューカッスルの港湾工事を受注した。16年にはニューサウスウェールズ州の新築住宅の20%、ビクトリア州の新規住宅の13%を中国人が購入した。オーストラリアで活動する中国出身の実業家らは政界の大手スポンサーになり、主な政治家らに巨額の献金を惜しみなくばらまいて「中国の友」にした-と指摘する。ハミルトン教授は、ロバート・ホーク元首相の名を挙げ「10年以上にわたり中国企業の契約締結を助ける仕事に集中し、2000年代半ばには5000万豪ドル(現在のレートで約42億円)もの財産を持つ富豪になった」と説明した。

 中国は東北工程を思い起こさせる歴史歪曲(わいきょく)もためらわない。中国出身のオーストラリアの実業家、チャウ・チャック・ウィン(周沢栄)は「オーストラリア帝国軍(AIF)の人種多様性」研究のために資金を寄付した。その資金を受け取って出版された本は、冒頭でこんな主張を行っている。「1788年の最初の囚人移民船団には中国人も含まれていた」。だが著者は「移民船団に中国人はいなかった」とし「でたらめな主張を糸口にして、中国が次第に(オーストラリアに対する)領有権を主張するかもしれない、という想像も妄想ではないだろう」と記す。

 しかし、中国は平和的で領土的野心はない、という主張も続いている。マサチューセッツ工科大学(MIT)政治学科のテイラー・フレイベル教授が著した『中国の領土紛争』は、1949年の中国建国以来2008年まで、およそ60年間の領土紛争史を国際政治学的に分析した書籍だ。中国はこの時期、23件の領土紛争のうち17件を妥協を通して解決した。チベットに関しては緩衝地帯確保のため領土面で譲歩することもあった。武力挑発は台湾や南シナ海など、中国がかつて自分たちのものだったと考えている地域に局限していた。

■世界最高の国ランキング7位は米国、韓国は20位、日本は?

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  • ▲クライブ・ハミルトン著、キム・ヒジュ訳『中国の静かな侵攻』(世宗書籍刊)。500ページ、2万2000ウォン(約2160円)。日本題は『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』。
  • ▲テイラー・フレイベル著、チャン・ソンジュン訳『中国の領土紛争』(キム・アンド・キム・ブックス刊)。544ページ、2万ウォン(約1960円)。日本題同じ。

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