韓国政府も「原因不明」…がんで60人死亡、焼却場集落のミステリー /清州

 がん発生率(1999-2017年)の分析でも、焼却施設に関連し、がん発生率の増加は認められなかったとした。焼却施設との関連性が高いとされている非ホジキンリンパ腫など血液のがん、肺がんなどの発生増加には有意性が認められなかった。

 基準値を上回る数値が明らかになったケースもあった。住民の血中ダイオキシン濃度はソウル市民によりも39.5%低かったが、尿に含まれるカドミウムの濃度も韓国の成人平均の最大5.7倍高く、多環芳香族炭化水素類(PAHs)代謝物である2-ナフトールの濃度と遺伝子損傷指標はそれぞれ1.8倍、1.2倍高かった。特にカドミウム濃度と遺伝子損傷指標は焼却施設に近い住民ほど高い傾向が見られた。

 しかし、環境部はカドミウムが焼却場の排出口で検出されておらず、土壌のカドミウム濃度が低い点を挙げ、特定の影響因子が原因だと結論を下すには科学的な限界があると判断した。

 このほか、がんの潜伏期間(血液がんで5年、固形がんで10年)を考慮したコーホート(共通した因子を持ち、観察対象となる集団)の研究結果によれば、忠清北道の報恩郡、陰城郡などの地域に比べ、男性で胆のうがんの発生率が2.63倍、女性で腎臓がんの発生率が2.79倍高かった。

 ところが、環境部は「こうした結果を総合的に検討した結果、焼却施設から排出される有害物質と住民のがん発生には疫学的因果関係を明確に立証するに足りる科学的な根拠が限られている」とする結論を下した。焼却場との関連性が高いがんの増加、焼却量の増加に伴うがん発生率上昇の関係性も明確ではないとした。

 環境部は2007年以降に焼却量が急激に増加している点と固形がんの潜伏期(10年)を考慮すれば、時間的制約があり、過去の資料が十分ではなかったとした上で、「17年以降のがん発生率に対する持続的な評価が必要で、一部数値が基準値を上回っている点からみて、同地域に対する環境・健康調査のための事後管理が求められる」と提案した。

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シン・ジョンフン記者
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  • ▲忠清北道清州市北二面の焼却場/シン・ジョンフン記者
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