平安時代から現代に至るまでの歴史的な流れと共に、日本の政治・経済・社会・文化について指摘した一冊。概観書ではあるが、論旨や観点は明確だ。著者は「日本の右翼は中国との共存よりも日米同盟を好むが、米国のエリート指導層は日本を米国の軍事的アセット(資産)、夢をかなえるための道具くらいにしか考えていない」とし「過去史を謝罪した後、再びアジアの一員に戻る方がまし」と主張する。韓国との関係、とりわけ慰安婦問題についての見方は特に明確だ。著者は「多くの日本男性、とりわけ自民党を支持し、国粋主義メディアに記事を書く人々にとって、韓国がこの問題を提起するのは『性に関することは公に語らない』という東アジア特権層男性の間の暗黙の了解に違反する行為だ。彼らは、韓国がこれに違反することに対して怒っているが、なぜ怒るのかについては口をつぐむしかない」と記した。「だから彼らは、言葉はきちんと言えずに怒っている状態になってしまう。この感情を、外部の人間はうまく理解し難いが、みんなからいじめられて母親のスカートの陰に逃げ込む子どものようでもある。母親の広いスカートに抱かれて、靖国神社を参拝したり高校の教科書を修正したりする行動で、韓国と中国に対し冷やかしの表情を浮かべてみせるのだ。だが米国は、母性愛にせよ何にせよ、日本にいかなる種類の愛情も持っていない」
日本を眺めるさまざまなレンズの一つだと思って参考にするとよい書籍だ。膨大なテーマを1冊で扱っているため、精密さはやや落ちるが、膝を打つ洞察が各所で輝いている。日本題は『日本-呪縛の構図 -この国の過去、現在、そして未来』。660ページ、3万2000ウォン(約3010円)
クァク・アラム記者