【コラム】「免罪符」まで与える民情首席秘書官の権限

 大統領は今、政府を「民主的政治権力」だと考えていることだろう。それならば、青瓦台の「適法」発表は捜査権力に対する「コントロール」なのか、「けん制」なのか。実際そういう二分法には意味がない。どんな意図であれ、青瓦台報道官の口から出た瞬間、「適法」発表は韓国社会で免罪符として作用し、捜査機関をコントロールする。検察と警察は凍りつく。2年前にメディアが禹柄宇(ウ・ビョンウ)元民情首席秘書官を批判した時もそうだった。青瓦台が「腐敗既得権勢力と左派勢力による禹柄宇たたき」だという陰謀論を匿名の形で流した。その言葉が検察による捜査権行使をどういう形で歪めたかよく分かるはずだ。どんな結果にたどり付いたかも記憶にあるだろう。

 今回も与党から陰謀論が飛び出している。「金融マフィアと保守メディアが金融改革を挫折させることを狙っている」というものだ。そんな人物がいるならば、大統領は警戒すべきだ。ただ、大統領自身が陰謀論を信じ、青瓦台の発表がその結果だとすれば全く別次元の問題だ。しかし、検察の司法機関化をあれほど批判していた大統領が青瓦台の司法機関化をリードし、大韓民国の法治をねじ曲げるはずはない。大統領の初心を信じたい。

 金起式金融監督院長をめぐる論争は簡単な問題だ。監督対象の機関のカネによる海外渡航が公務だったのか、海外旅行だったのか。海外旅行ならばそれが賄賂に当たるのか否か。女性のインターンが同行したことが社会の常識か否か。院長自身の説明がうそかどうかだ。過去には同様の問題で起訴され、有罪になった政治家がいる。判例があれば、今回も司法の判断に任せればよい。そんな人物を金融監督院長として据え続けるかどうかは青瓦台の一存だ。ただ、民情首席秘書官の判事ごっこで大韓民国の司法まで揺るがさないでもらいたい。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)社会部長
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