中学で教師として勤務するAさん(女性)は一昨年、教室で悪夢のような一日を送った。ある生徒が何度も自分の体の特定部位をAさんに密着させてきたのだ。慌てたAさんが生徒の頬を平手打ちしながら注意すると、生徒も自分の過ちを認めた。しかし、この事実を子どもから聞いた父兄は「教師が頬を平手打ちした行為は、重大な生徒の人権侵害であるとともに、児童虐待」と主張しながら、弁護士を立て、Aさんを刑事告訴した。父兄側は「私たちの息子は(まだ幼くて)処罰されても前科は付かないが、教師は児童虐待法に引っ掛かれば教職を去らなければならない」と脅した。さらには、校内放送を通じて他の学校に移ることを要求した。Aさんは結局、宣告猶予判決で教職は追われなかったものの、罪人のような立場で他の学校に異動せざるを得なかった。周囲の教師らは「今後生徒たちを指導することができないくらいに、Aさんはショックを受けた」と話す。
■児童虐待法に足をすくわれる教師たち
教師らが生徒を指導する過程で「児童虐待」に追い込まれるケースが多発している。ソウルのある小学校の学芸会の練習時間に、指導教師Bさんは列をそろえない生徒の袖などを引っ張って「列をきちんとそろえなさい。あなたが穴だ」と叱りつけたことで、今年1月教壇を後にした。暴行の疑いが持たれて起訴され、50万ウォン(約5万1000円)の罰金を支払った。