特定犯罪加重処罰法5条10項は「運転中の自動車の運転者を暴行、脅迫した者は5年以下の懲役または2000万ウォン(約188万円)以下の罰金に処す」と定めている。特に「運転中」の定義については「運転者が旅客の乗降などのために一時停車した場合を含む」とされている。この容疑には被害者が処罰を望まなければ処罰を行わない「反意思不罰」が適用されない。しかし、警察は李次官に特定犯罪加重処罰法を適用せず、「単純暴行」として処理し、「反意思不罰」を理由に立件すらせずに内偵を終結させた。
Aさんは「警察に別途映像を持ち込まなかった。自分も和解状態だったので、『見なかったことにする』という言葉に抗議したり、捜査を要求したりはしなかった」と説明した。ただ、「警察が映像の存在を知っていながら、その後自分について、(映像がないと)虚偽陳述を行ったとだけ言っているのは悔しい」と話した。Aさんは警察の内偵終結後、携帯電話から暴行場面を消去したが、警察は先月の再捜査でそれを復元した。
李次官の弁護士は24日、「ブラックボックスの映像は事件の実態を客観的に判断できる根拠になるので、経緯はどうであれ、捜査機関に提出されたのは幸いだ」とする立場を表明した。和解過程で金銭を払い、映像消去を求めておきながら、今になって「幸い」と言い始めた格好だ。