Aさんの112番通報(日本の110番に相当)を受け、警察が出動した。当時派出所でブラックボックスのSDカードに記録された暴行映像を確認しようとしたが、「0ギガバイト」と表示されて内容を確認できなかった。翌日Aさんはソウル市城東区のブラックボックス業者を訪ね、映像が保存されているのを確認。その映像を携帯電話で撮影した。同じ日に李次官が電話をかけてきて謝罪した。Aさんは「反省してほしい」という意味で映像を李次官に送ったという。
さらに翌8日、李次官がAさんの自宅近くのカフェに訪ねてきて、和解金を提示して謝罪したので、Aさんは和解に応じたという。李次官は「映像を消すというのはどうか」と要請し、Aさんは「消す必要があるか。(警察に)見せなければいいだろう」と答えたという。和解金の金額について、Aさんは「明かせない」と語った。
■捜査官「映像は見なかったことにします」
和解翌日の9日、瑞草署に出頭したAさんは「ブラックボックス業者を訪れ、復元を試みたが、(暴行)映像がなかった」と説明した。A次官と和解したため、そう答えたという。しかし、警察はブラックボックス業者に電話をかけ、映像が存在した事実を確認し、11日にAさんを再度呼び出した。それを受け、Aさんは長さ30秒の暴行映像を担当捜査官に見せた。李次官がAさんの首の後ろをつかむ暴行場面が記録された部分だった。捜査官は「車が停まっていますね。見なかったことにします」と話したという。車が停車中なので「走行中の運転者暴行」を定めた特定犯罪加重処罰法の規定には該当しないと説明したという。Aさんは「一時停車中だが、変速機はD(走行)に入れた状態で、ブレーキを踏んでいた」と主張した。