李さんは大統領が本当に自分のためにやってくれていると感じていたはずだ。青瓦台の行事に4回も主賓として招かれ、実の母親のように迎えてくれた。「被害者の意思に反することはしない」「被害者の傷を癒やす」という大統領の誓いも文字通り信じたはずだ。李さんは慰安婦問題の主人公は尹美香氏ではなく、自分だと感じたはずだ。大統領は「被害者中心の解決」を強調し、被害者が「主体」にならなければならないと語ってきたではないか。李さんは大統領が尹美香氏ではなく、自分の見方になってくれると固く信じていたはずだ。純真な錯覚だった。
文大統領にとって慰安婦運動は反日ビジネスだ。大韓民国政治で反日ほど確実に儲かる商売はない。その事業パートナー、尹美香氏が代表を務めたのが韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)であり、正義記憶連帯(正義連)だ。李さんはよく売れる看板商品だった。CEOも看板商品も重要だ。しかし、そのうち一つを選ぶとすれば答えは決まっている。文大統領が積弊清算に取り組んできた尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長を「我が総長」と呼んでいたのに、チョ・グク元法務部長官の一件に手を触れた途端、改革対象に追い込んだのと同じ道理だ。李さんは文大統領が自分を4回も主賓で呼んでくれたと考えたはずだ。実は「慰安婦被害者に誠心誠意尽くす大統領」というイメージを具現するために助演俳優を4回動員したにすぎない。
金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹