「アイ・キャン・スピーク、李容洙(イ・ヨンス)さんが青瓦台へ行く」--。2017年11月7日、トランプ米大統領の国賓晩餐会の前触れ記事だった。慰安婦被害者の米議会での証言を題材にした映画「アイ・キャン・スピーク」の実在人物、李さんを招待したというのが青瓦台のセールスポイントだった。晩餐会の様子を伝えたインターネットメディアは「任鍾晳(イム・ジョンソク)秘書室長が李容洙さんのところに行ってあいさつし、しばらく会話する姿が目立った」と伝えた。「トランプ大統領夫妻を迎えるため、李さんと共にできなかった大統領が秘書室長を送って細かく応対させた」とのことだった。就任後初めて米大統領と会う瞬間ですら、慰安婦被害者のことを忘れない大統領の心遣いが伝わってきた。
インターネットには文大統領と李容洙さんの「ツーショット写真」があふれる。最初は文大統領が初めて大統領選に出馬した2012年の「大邱・慶北慰安婦追悼の日」だった。17年の大統領選前日の最後の選挙集会でも李さんを壇上に招いた。大統領就任後の公式行事にも4回招待した。常に李さんが焦点になった。19年の3・1運動100周年記念式では、李さんと「アイ・キャン・スピーク」の俳優イ・ジェフンが大統領夫妻と並んで着席した。文大統領が李さんを迎える様子も特別だ。儀礼的な握手の類いはない。親しく抱き寄せたり、車椅子に座った李さんの手を握り締めたりした。