■借り手の39%は連絡もつかず
また今後の満期到来分のうち多くが延滞となる可能性が高いという。事業を行う京畿福祉財団が融資を受けた約11万人のうち7万8082人に連絡したところ、3万764人(約39%)は連絡がつかず、そのうち6354人は融資を申請した際に記載した電話番号が存在していなかった。
それでも連絡がついた約4万7300人のうち「必ず返済する」と答えた人は約2万8700人で、残り約1万7000人は「返済が難しい」と訴え、また約1180人は返済義務を失念、あるいは返済の意志がないようだった。野党・国民の力所属のチ・ミヨン京畿道議会議員は「返済がすでに遅れた借り手のうち、今後返済に応じる可能性のある人はほぼいない。このままでは融資全体のほぼ半分に当たる約600億ウォン(約64億円)が焦げ付き、道民の税金で埋め合わせる事態になる」と指摘した。
融資の管理に必要な費用もばかにできない。最初に融資が行われた直後の2020年には受付担当者1000人を臨時で採用し、それに伴う人件費は21億7600万ウォン(約2億3100万円)に達した。その後も財団とのやりとりのため10人以上の職員を採用し、昨年はその人件費として3億7164万ウォン(約3946万円)を支出した。
一連の状況について西江大学経済学部のパク・チョンス教授は「低金利で庶民を支援すると金融市場の仕組みに問題が生じ、延滞者が急増するなど市場を混乱させる可能性が高い」とした上で「むしろ財政で弱者を支援した方がよい」と指摘した。
延世大学のキム・ジョンシク名誉教授も「不況時には庶民を支援する政策が必要だが、無理に金利を下げて融資を行う政策はモラルハザードを招き、また相対的剥脱感を抱かせる恐れもある」「働くことで所得を引き上げる方向へと政府は政策を転換すべきだ」と提案した。
郭彰烈(クァク・チャンリョル)記者