台湾海巡署(海洋警察)は「中国軍の脅迫は国際秩序に対する露骨な挑戦であり、(台湾海峡の)現状維持を毀損(きそん)する動きだ」として強く反発した。また台湾国防省は「軍用機、艦艇、海岸ミサイルシステムなどを使った偵察を合同で行い、中国軍の訓練に対抗している」と明らかにし、さらに台湾聯合報は同日「『中国による武力統一』を主張する書き込みを行った台湾在住の中国人インフルエンサー3人が先月25日以降、相次いで中国に追放された」と報じた。
中国による今回の軍事訓練は反中傾向の強い頼清徳・台湾総統への攻撃であり、台湾で強まる「反中運動」への対抗策との見方が支配的だ。頼清徳総統は3月13日の国家安全保障会議で中国を「敵対勢力」と規定し、台湾軍内部のスパイを摘発するため軍事裁判の復活などを含む「17項目の対策」を発表した。
中国共産党の機関紙「人民日報」は「頼清徳による『恐怖造成による独立推進』は必ず失敗するだろう」という見出しの記事で「頼清徳はいわゆる国家安全保障高官級会議を開き、反中・抗中の統制を強め、双方(中国と台湾)の交流を阻止している」「頼清徳は台湾独立・分裂活動を加速させている」などと批判した。
今年に入って台湾では与党・民進党の支持者を中心に、中国寄りとされる野党・国民党所属立法委員(国会議員)を罷免させる運動も進んでいる。台湾立法院(議会に相当)は昨年、与野党のねじれにより総統の権限を縮小させる法案などが成立したため、これをきっかけに与党を中心とする大々的な反中運動に火が付いた。
台湾問題に詳しい中国蘇州大学の王鶴亭教授は、中国社会科学院台湾研究所が発行する「台湾研究」に掲載した論文で「平和統一に向けた最大の努力を続ける一方、非平和方式の選択肢も維持すべきだ」「内戦による戦時には中国政府が台湾の直接統治体制を樹立しなければならない」と主張した。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員