問題の報告書に記載された事件は尹錫悦政権発足後の2023年10月から24年3月までに起こっていたため、共に民主党は今回の要求を行ったと考えられる。政府・与党が何か失敗をやらかしたと声を上げたいのだ。しかし時期に関係なく、国家情報院が韓国にとって重要な何らかの技術や情報を米国から盗もうとしたと仮定してみよう。たとえそうだったとしても、それについて韓国の国会が先に国家情報院を呼んで追及し、相手国よりも先に解明すべきだろうか。
米国や中国はもちろん、今世界はどこの国も熾烈(しれつ)な情報戦争の真っただ中にある。敵性国であれ同盟国であれ、自分の国に必要な情報や技術を他国が持っているならそれを奪おうとし、逆に自分の国の情報や技術を奪われないよう必死になっている。全ての国が今そんな状況と言っても過言ではない。時にはこれが原因で国の存亡が左右されるケースもある。米国が同盟国を監視し盗聴したことがばれたとしても、米国議会がそれを禁じるという話は聞いたことがない。
米国が同盟国の韓国をセンシティブ国に指定した背景には、新技術を巡る熾烈な競争の中で技術面でのセキュリティーを強化する流れがあるという。今回の事態で韓国の国会が直ちにやるべきことがあるとすれば、その流れを自らしっかりと学び理解することだ。自分の目を突き刺すがごとく自国の情報活動を暴く前に、韓国の情報や技術を奪おうとする外国人の活動を阻止する対策を強化すべきだ。スパイ罪の適用範囲を「敵国」から「外国」に拡大するスパイ法改正はその第一歩になるだろう。
金真明(キム・ジンミョン)記者