崔載海(チェ・ジェへ)監査院長が弾劾訴追で職務停止になっている間、監査院が院長職務代行らの指示に基づき、検察に「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の大統領室竜山移転に関する追加捜査が必要」という趣旨の文書を送っていたことが14日に分かった。崔院長が席を空けていた98日の間、監査院では大統領室移転に関する再監査が進められ、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は「国会が要求した事案は監査院が無条件で監査すべき」とする国会法の条項を利用して、野党側が提起した疑惑に関する監査を監査院に強制した。最近5年間に韓国政府が行ったことを監査する監査院の特性上、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に生じた問題点を主に監査してきた監査院の矛先を、尹政権に向ける作業が進められたのだ。この期間に監査院長の職務を代行した趙垠奭(チョ・ウンソク)、金仁会(キム・インフェ)の両監査委員は、どちらも文在寅・前大統領が任命した人物だ。
【グラフィック】監査院長弾劾訴追後に起きた「監査院の方向転換」
監査院は昨年10月、尹政権が大統領室を竜山に移転する過程で国家契約法等の関連法規に多数違反したという内容の監査報告書を発表した。監査期間は1年8カ月に達し、移転工事に参加した民間業者まで全て調査を受けた。監査院が大統領室の工事契約の内容を詳細に調べたのは初めてだった。
しかし野党側は、すぐに「監査はずさんだ」と主張した。監査で金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人が竜山移転に関与した状況が明らかにされていなかった上、監査院が70平方メートル(およそ21坪)の建物の存在を知らなくて調査から抜け落ちていた、という理由からだった。
民主党と、同じく進歩系野党の祖国革新党、進歩党は、昨年12月5日に崔院長を弾劾訴追して職務停止に追い込み、趙委員が監査院長の職務を代行することになった。すると趙代行は監査院の職員らに、大統領室移転監査を「職権再審議」するための事前調査を指示した。職権再審議とは、監査院長と監査委員が一緒に審議・議決した監査報告書の内容を修正して再び審議・議決を行うことで、事実上、再監査をして結論を変えるという意味を持つ。
職員らは反発したが、趙代行は監査において疎かだった点が判明した以上、追加監査をすべきで、それでこそ後に「見逃し監査」という批判が起きた際に監査院の職員が捜査されることを避けられる-と主張したという。
民主党も1月17日、大統領室移転監査を再度行うよう求める「監査要求案」を国会本会議において多数決で処理し、監査院に送った。国会が本会議の議決で監査院に監査を要求した場合には監査院は5カ月以内に結果を出さなければならない、という国会法の条項を利用したのだ。