3月1日午後、京畿道高陽市の漢江河口部にある「獐項湿地」。湿地に生息する動植物を記録した生態館を通り過ぎ、保護区域へと向かう入り口にやって来ると、そこはフェンスでふさがれていた。かつては訪れた人々に門戸を開いていた場所なのだが、2021年に地雷事故が発生した後は立ち入りが規制された。フェンスには「立ち入る者は地雷による事故発生の危険があり、注意が必要」と記されていた。本紙が3月6日にドローンを飛ばしてこの一帯を撮影してみたところ、漢江とつながっている水流は、プラスチックや発泡スチロール、木の枝などの浮遊物がぎっしり詰まってせき止められていた。漢江流域庁の関係者は「漢江河口に押し寄せる都市ごみが湿地にたまっているが、地雷の危険があるので管理できていない」と語った。
漢江の流れに沿って形成された広さ5.96平方キロ(約180万坪)の獐項湿地は、渡り鳥の中間経由地であると同時に生息地でもある。西海岸の大きな干満差によって形成された自然河口の様子を見せてくれている。生態的重要度が高く、「ラムサール湿地」に指定されて国際的に管理の必要性が認められた場所だ。河口の特性上、都市ごみや海洋ごみが水際にたまるのだが、環境部(省に相当)は21年以降、手を付けることができていない。ここに流れ込んだ「北朝鮮の地雷」のせいだ。
獐項湿地は軍事施設保護区域だったのだが、18年に解除された後、通行が認められた農業者・環境浄化作業者・生態探訪客などに開放された。一般人のアプローチが不可能だった昔は、河口にごみがたまっても清掃する方法がなかったが、開放された後は浄化作業が行われた。環境部は毎年2億ウォン(現在のレートで約2040万円)の浄化作業予算を組んで、獐項湿地一帯にたまったごみを片付けてきたが、21年に事故が起きた後は清掃が中断した。
地雷の爆発事故は21年のラムサール湿地指定の翌月に発生した。同年6月にある環境団体が湿地の環境浄化活動のために入ったところ、対人地雷が爆発し、足首が切断されるという事故が起きた。漢江庁の関係者は「地雷事故の後も、プラスチックで作った木の葉型の地雷が一帯に散らばっているものと判断され、これ以上の環境浄化作業はできずにいる」と語った。現在は許可を受けた農業者だけが一部出入りしている。