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尹大統領「すでに多くの国民が亡国的な状況から国を守る行動を開始、戒厳を再宣布する理由がありますか?」 弾劾審判最終陳述全文(下)

上中下全3回

 大統領任期の初めには国民と有権者に約束した公約や国政課題の実践、民生に影響が大きい社会改革の推進が優先ですから、こうしたスケジュールに合わせて働いてきたわけです。

 どの政権も任期初期には選挙公約や国政課題の履行が優先されますので、政治改革には気を使う余力はありません。

 そうしているうちに前の大統領たちの5年任期はすぐに過ぎて、変化した時代に合わない1987年体制が依然として維持されています。政治が国民を不自由にして、国家の発展を妨げています。また、国家の未来を決定することに、未来の主役である青年たちが参加できるよう、政治と行政の敷居をさらに低くしなければなりません。

 私が職務に復帰することになれば、まず1987年体制を私たちの体に合わせて、未来世代にきちんとした国を譲るための改憲と政治改革の推進に、任期後半を集中しようと思います。

 私はすでに大統領職を始めた頃から、任期半ば以降は改憲や選挙制など政治改革を進めるという計画を持っていました。現職大統領の犠牲と決断なしには憲法改正と政治改革ができないので、私がこれをやり抜こうと思ったのです。私は多くの元大統領が候補時代に公約しても履行できなかった青瓦台の国民返還も、当選直後すぐさま推進し、履行しております。

 残りの任期に未練がましく執着せず、改憲と政治改革を最後の使命と考え、1987年体制の改善に最善を尽くしたいと思います。国民の意思をくんで速やかに改憲を進め、韓国社会の変化にうまく合う憲法と政治構造を誕生させることに全力を尽くします。

 改憲と政治改革の過程で、国民統合を成し遂げることにも努力を尽くします。結局のところ、国民統合は憲法と憲法の価値を通じて行われるだけに、改憲と政治改革が正しく推進されれば、その過程で離れ、分裂した国民が統合されると信じています。そうなれば、現行憲法上、残りの任期にこだわる理由がなく、むしろ私にとっては大きな光栄だと思います。

 そして、国政業務については、急変する国際情勢とグローバル規模の複合危機という状況を踏まえて、大統領は対外関係に重点を置き、国内問題は首相に権限を大幅に移譲しようと思います。

 韓国経済は、他のどの国よりも対外依存度が非常に高いです。特に米国のトランプ政権発足後の国際秩序の急変やグローバル経済、安全保障の不確実性に大きく影響を受けるほかありません。今、私たちが国家路線をどう選択するかによって、危機が機会になることもあり、取り返しのつかない災難に遭うこともあります。

 グローバル中枢外交の基調として、歴代最も強力な韓米同盟を構築して韓米日協力を引き出した経験を基に、対外関係で国益を守ることにまい進します。

 尊敬する憲法裁判官の皆さま。まず、切迫した日程の弾劾審判でしたが、充実した審理に努めてくださった憲法裁判官の皆さまに深く感謝申し上げます。

 今回の審理は、内乱罪を事由とした弾劾訴追から内乱罪削除を主導した訴追団側(韓国国会)が提示した争点を中心に行われ、そのため私が12・3非常戒厳を宣布した理由とその不可避性については、十分に説明する時間が足りなかったと思います。書面で誠実に関連資料を提出しましたので、大統領として苦悩の決断をした理由を深く考えることをお願い申し上げます。

 また、多くの国家機密情報を扱う大統領として、裁判官の皆さまに全て説明できない部分にまで、裁判官の皆さまの知恵と慧眼(けいがん)が及ぶと信じています。

 重ねて裁判官の皆さまのご尽力に感謝いたします。

 愛する大韓民国の国民の皆さま。国家と国民のための戒厳でしたが、その過程で大切な国民の皆さまに混乱と不便をおかけした点、心より申し訳なく思います。

 私の拘束過程で起こった出来事で、困難な状況に置かれている青年たちもいます。その正否はさておき、非常に心が痛みます。申し訳ありません。本当に申し訳ないと思っています。

 私は大統領選挙に出馬する際、国のために命をささげると決心しました。

 12・3戒厳令と弾劾訴追以後、雪が降る厳しい寒さのなか、私を守ろうと街頭に出た国民を見ました。私を批判し、叱責(しっせき)する国民の声も聞きました。互いに異なる主張をしていますが、皆大韓民国を愛する気持ちからだと考えます。

 至らない私を今まで信じてくださり、応援を送ってくださっている国民の皆さまに心より感謝申し上げます。私の過ちを叱る国民の叱責も胸に深く刻みます。

 そして、この全ての過程が新しい大韓民国に跳躍する土台になるよう、全ての努力を尽くします。ありがとうございました。

キム・ギョンピル記者

【写真】共に民主の票田・光州 若者の姿が目立つ尹大統領弾劾反対デモ(2月15日)

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