訴追事由から内乱罪削除、尹大統領弾劾に賛成票を投じた与党造反議員ら困惑

与野党で弾劾訴追をめぐる法的攻防が激化

 国会弾劾訴追議員団は3日、憲法裁判所に「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾訴追事由から憲法上の内乱罪を撤回する」と伝えたが、これを巡り与野党は5日に激しい攻防を繰り広げた。与党・国民の力は「尹大統領弾劾訴追事由の核心軸である内乱容疑を外せば、国会で可決された弾劾訴追は『上辺だけ』になるため、国会で改めて議決すべきだ」と主張した。これに対して野党・共に民主党は「内乱行為を刑法ではなく憲法違反とするだけだ。そのため再議決は必要ない」と反論した。国民の力からは「共に民主党は尹大統領弾劾審判をできるだけ早期に終わらせ、大統領選挙を前倒しする意図がある」などの声も上がっている。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が公職選挙法違反で二審で有罪が宣告されるなど、今後司法リスクが現実となる前に共に民主党は大統領選挙を行いたいようだ。共に民主党は国民の力に対し「朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領弾劾審判でも訴追事由を整理した」と反論し「無理に難癖を付けている」と批判した。

【写真】憲法裁判所の鄭亨植裁判官(左)と李美善裁判官

 国民の力は週末の4日に議員総会を開き「尹大統領弾劾訴追の核心事由(刑法上の内乱罪)が撤回されたのであれば、憲法裁判所は拙速に詐欺弾劾訴追案を却下すべきだ」「国会は新たな弾劾訴追案を作成し、再議決の手続きを踏まねばならない」と訴えた。国民の力の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は「尹大統領弾劾訴追案のアルファでありオメガである内乱罪を除外するなら『餡子(あんこ)のないあんまん』どころか『あんまんのないあんまん』だ」と批判した。共に民主党など野党各党は12月14日、尹大統領が12月3日に宣布した非常戒厳令の違憲性、またこれによる刑法上の内乱罪成立という二つの点を弾劾訴追案の重要ポイントとして国会本会議で可決・成立させた。ところが今回、内乱罪を別の刑事裁判で取り扱い、憲法裁判所の弾劾審判では非常戒厳令の違法性だけを判断する形に修正するという。そのため国民の力は「国会で弾劾訴追案を再び議決すべきだ」と主張しているのだ。

 国民の力の尹相現(ユン・サンヒョン)議員はフェイスブックに「弾劾案に同意したわが党議員5人が『内乱罪が含まれないなら、弾劾案に同意しなかったはずだ』と確認してくれれば、憲法裁判所にこれを証拠として提示したい」との考えを示した。尹大統領弾劾案は賛成204票で国会で可決したが、もし弾劾訴追事由から内乱罪の部分が外されるのであれば、賛成票を投じた国民の力議員12人のうち5人以上が反対票を投じた可能性が高く、そうなれば可決に必要な定足数(200人)に満たないため、弾劾案が否決されたというのが尹相現議員の主張だ。公開で賛成票を投じた金相旭(キム・サンウク)議員も同日「時間が多少かかったとしても、憲法裁判所で内乱罪かどうかを判断すべきだ」とコメントした。弾劾に賛成票を投じた別の国民の力議員らも「憲法裁判所で内乱罪成立について判断しないのであれば、弾劾訴追案の正当性が下がる」と考えているという。

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  • ▲韓国野党・共に民主党は5日に国会内で非常対策議員総会を開き、与党・国民の力は4日午後に非常議員総会を開いた。左の写真は共に民主党の総会でピケットを手に声を上げる朴賛大(パク・チャンデ)院内代表をはじめとする同党所属議員。右の写真は国民の力非常議員総会を前に国民儀礼を行う権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長と権性東(クォン・ソンドン)院内代表ら同党所属議員。/news1
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