海外出稼ぎを考える最近の日本の若者「最有力候補は韓国」

K文化が拡大し、日本より給料が高い

韓国で就職する日本人が増加

 12月10日午後8時、ソウル市松坡区ロッテ・ワールド・タワーにある採用仲介プラットフォーム企業ウォンテッド・ラボの事務室を訪れた。韓国企業に就職した日本人の親睦交流イベントに約70人の日本人が集まっていた。たかはし・あかりさん(31)は昨年、韓国のマーケティング会社に就職した。海外勤務をしてみたいと思っていたが、韓国は「ワンピック(最初の選択)」だった。たかはしさんは「少女時代のファンなので、これまで覚えてきた韓国語が使えると思った」と笑った。韓国の広告会社で広告企画担当として働くひむら・はなさん(31)が隣で相づちを打った。ひむらさんは「韓国語を話せる日本人の友人の中で、韓国での就職を考えている人はかなり多い。私もTWICEやBLACKPINKのファン活動をしながら学んだ」と流ちょうな韓国語で語った。

【グラフ】「韓国で就業する日本人数の推移」と「韓日会社員の平均月給比較」

■Kポップが養成した韓国で就職する日本人

 韓国で就職する日本人が増えている。10年前までは、先進国の日本に就職するために日本に向かう韓国人は多かったが、就職のために韓国に来る日本人はほとんど見られなかった。法務部(日本の省庁に相当)のビザ発給統計を見ると、2014年10月に韓国で求職やワーキングホリデー、専門人材関連就職ビザを有している日本人はあわせてたった1人だった。24年10月現在、韓国で就労ビザを取得した日本人はざっと2196人だ。日本貿易振興機構(JETRO)のソウル支社の関係者は「幼い頃に日本で韓国ドラマや歌謡を見聞きし、韓国語を学んだ人々が職場に通う年齢になり、自然と韓国での就職も考えている」と理由を語った。さらに韓国の賃金水準が上昇し、一方で円の価値が下落したため、金銭的にも韓国への就職は日本人にとって魅力的だという見方だ。

 韓国で就職する日本人の履歴も変わりつつある。以前は韓国の大学を卒業した留学生が多かった。最近では、日本で大学を卒業し、日本で会社に通い、韓国企業に転職する日本人が増えている。韓国人工知能(AI)スタートアップ(ベンチャー企業)のマキナラックスで事業開発マネジャーを務めるながい・こうしろうさん(34)は、名門早稲田大学を卒業し、日本でコンサルタントとして活躍した。韓国生活5年目のながいさんは「昔は韓国で就職すると言うと、『なぜ』と聞かれたものだが、今は違う」とし「特にIT業界は技術水準や研究開発投資分野で、日本よりも韓国の方が良い点が多い」と話す。

 賃金水準も、もはや障壁にはならない。韓国経営者総協会の3月の報告書によると、2022年基準で韓国の会社員の月平均賃金は399万ウォン(約43万円)で、日本(379万ウォン=約41万円)を初めて上回った。20年前の02年までは、韓国人の会社員の月平均賃金は179万ウォン(約19万円)と、同年の日本の月平均賃金(385万ウォン=約42万円)の半額に過ぎなかった。ここ数年間続いている円安現象まで考慮すると、韓国の賃金が魅力的な部分もある。

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  • ▲イラスト=パク・サンフン
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