■中国指導部は生き残り戦略で苦慮
しかし中国では「トランプ支持現象」の拡大に対する批判も高まっている。ある微博アカウントは「いわゆる愛国インフルエンサーがフェミニズムと性的マイノリティーの権利に反対し、左派を悪魔化して極端な反中右派を崇拝するようになっている」と主張した。
習近平国家主席もトランプ氏が気に入らない。同氏の返り咲きがもたらす米中関係の不確実性と中国経済に及ぼす悪影響は台風並みの威力があるためだ。中国はトランプ氏就任以降に予想される米国からの圧力に対処する「生き残り戦略」づくりに専念している。中国は外交的には米国の友好国との関係改善を急ぐと予想される。「米国優先主義」を強調するトランプ政権発足で米国の同盟体制がぎくしゃくするところを突き、「対中けん制戦線」の弱体化を狙う戦略だ。また、中国が核心的利益と主張する台湾・南シナ海問題で強硬なメッセージを発する一方で、米国が注目する国際紛争に関しては介入レベルを調整し、一線を画す可能性がある。
経済政策では「技術上の突破」を確実に目指しながら、社会不安を誘発する景気後退を体系的に管理すると予想される。12月9日に習主席が招集した中国共産党中央政治局会議では、2011年から維持してきた「積極的財政政策と穏健な金融政策」の基調を「より積極的な財政政策と適切に緩和的な金融政策」へと変更した。中国が世界的な金融危機の当時に活用した政策金利引き下げなどの手段を再び積極的に動員し、低迷した景気の回復に取り組むという意味だ。
中国がトランプ氏の再登板を国家の結集と自立を高めるチャンスととらえているとの分析もある。12月11、12の両日、中国経済の方向性を決める中央経済工作会議では、「守正創新(正しい路線に沿った革新)」、「系統集成(統一的、体系的な改革推進)」、「協同配合(緊密な協力を通じた目標実現)」というキーワードが新たに登場した。国家の指導の下で全国民が「結集」と「革新」に努めなければならないという意味を込めたと受け止められている。
北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員