米政府は過去1年間、エヌビディアを対象に中国に流出した半導体に関する調査に実施してきた。エヌビディアは人工知能(AI)開発に欠かせない「AIアクセラレーター」という半導体チップを生産している。米国は過去2年間にわたり、エヌビディアのAIチップが中国に輸出されることを防ぐために規制を強めてきた。しかし、中国が第三国経由のう回ルートと密輸を通じ、エヌビディアの先端AI半導体を確保していることが判明すると、直接同社を対象に調査を行うことにしたのだ。IT専門メディア「インフォメーション」は12月19日、米商務省がエヌビディアに対し、自社半導体が中国でなぜ使用されているのか最終販売経路に関する内部調査を行うよう指示し、半導体商社を対象にした調査が行われていると報じた。
米国がエヌビディアのAI半導体に対する規制を強化するのは、技術面だけでなく、戦略的重要性のためだ。米国は2022年10月以降、AIチップの対中輸出規制を発表するたびに「軍事転用の可能性」を主な理由の一つとして言及している。専門家は中国がエヌビディアのAIチップを超音速ミサイルなど先端兵器を開発する過程で使用していると推定している。高性能のAIモデルでシミュレーション(仮想実験)を行いながら、兵器の性能を急激に向上させる狙いだ。韓国科学技術院(KAIST)の金楨浩(キム・ジョンホ)教授は「先端兵器開発でAIモデルはますます重要になり、エヌビディアのAIチップが中核的役割を果たす。エヌビディアのチップが核兵器の原料であるウランのような役割をすると言っても決して誇張ではない」と述べた。
■米、エヌビディアのAIチップに戦略的規制
実際に中国軍と関連研究機関はエヌビディアのチップを大量に備蓄している。ジョージタウン大安全保障・新興技術センターが米国による規制が本格化する以前の2020年、中国軍の調達契約2万1088件を分析した結果、確保したAI半導体は全てエヌビディアなど米国製だった。ニューヨークタイムズは「米国製チップが核兵器や魚雷をモデリングしたり、ステルス戦闘機のレーダー信号を分析したりするのに使われた」と報じた。また、AIチップで構築した指揮統制体制は、人間より早く正確な判断を下すことができる。AIドローンのように従来の兵器体系とも融合できる。複雑な計算が必要になるだけに、高性能のAIチップが必要だ。中国経済金融研究所のチョン・ビョンソ所長は「AIが実際に軍事用として活用されたウクライナ戦争を見た米国は、中国がそれを現実化することを防ぐために制裁レベルを高めるはずだ」と話した。