「核弾頭保有量急増、世界最高水準の極超音速ミサイル開発、超巨大海軍艦隊構築」「中国共産党100周年前の台湾併合を目標に核攻撃も辞さない」――。
米国防総省が昨年12月18日に公表した「2024中国軍事力報告書」に盛り込まれた中国の軍事力と今後の見通しに関する記述だ。毎年発表される同報告書は、ベールに包まれた中国の軍事力を詳細に分析し、今後の動向を予想するものだ。今年の報告書では、中国の急速な軍事力増強に注目しながらも、汚職問題が今後数年間、中国軍の足かせになると予測した。
【写真】韓国女優ソン・ヘギョにそっくり 中国軍の女性パイロット(25)が話題に
報告書が最も注目したのは、中国による核武装のペースだ。報告書は中国が昨年5月までに600基以上の核弾頭を確保したと推定した。2020年の保有量の3倍で、1年前に比べ100基増えた。報告書は「中国が2030年までに1000基を超える核弾頭を保有し、2035年まで核戦力を継続して拡大する」と予想した。中国が実際に1000基以上保有することになっても、米国の核弾頭数(3708基・推定)には遠く及ばない。しかし、米国がこの10年間で核弾頭を約2200基を削減しているだけに、米中の格差が急速に縮小するのではないかとの見方が出ている。
報告書は中国が増強した核兵器で台湾を狙う可能性もあると予想。「通常兵力で台湾に敗北し、共産党政権の生存が深刻に脅かされるならば、中国は核の先制使用(first use)も考慮するだろう」との見方を示した。これを巡っては、中国の長年の核兵器使用指針である「核の先制不使用」の原則に反するとの指摘がある。
報告書はさらに、「中国指導部は(中国と台湾に)分断された現状は脆弱(weak)だと見なし、『2049年までの台湾問題解決』と『香港に対する管轄権を固めること』を含む『完全な統一』が国家復興の根本的条件だと主張している」と分析した。中華人民共和国の建国100周年に当たる2049年までに武力による台湾併合を完了するため、準備を進めている可能性が高いとの見方だ。実際、台湾は米国から購入した最新鋭主力戦車「エイブラムスM1A2」108台のうち1次引き渡し分38台が昨年12月15日に到着するなど、通常兵力の増強を急ぎ、中台間の軍事的緊張は日増しに高まっている。