韓国製自走砲輸出の隠れた功臣 毎分12発を自動補給する弾薬運搬車「K10」

ルーマニア向け自走砲輸出事業でドイツを抑えた「秘訣」
ロボットのようにK9の後端と結合し、自動で弾薬補給
メーカー主導で開発…「一日に数十回の会議、図面修正」
世界最強国の米国も弾薬運搬車の事業化は失敗

 K10は、完全自動化された制御システムを通してK9自走砲の性能を最大化する自動化ロボット型弾薬運搬専用装甲車だ。通常、1門から3門のK9に1両のK10という比率で運用する。K10はK9の基本車体に弾薬補給装置などを組み合わせた形態をしており、K9水準の機動性と防護能力を兼ね備えている。

 K10は弾薬104発と装薬94発、併せて198発を搭載できる。これは、K9自走砲におよそ2回補給できる量だ。K10の前方に付いている移送機は、K9の後端に付いている弾薬積載台と結合し、毎分12発以上の弾薬補給ができる。これは、兵士が手で運んで補給するのに比べて補給の所要時間を10分の1に短縮する。K10には自動制御システムも搭載され、弾薬の在庫管理や故障の自己探知・診断等も可能だ。

 ハンファ・エアロスペースは、K9の開発が完了した1998年(当時はサムスン・テックウィン)からK10の開発に着手した。国の主導で作られたK9とは違い、K10はメーカー主導の開発事業として進められた異例のケースだ。

 K10の開発当時、参考にできる技術は世界的に十分ではなかったことから、ハンファ・エアロスペースは大学と産学共同研究を進め、基礎資料を得て概念研究を行った。また、海外の展示会に通って収集したパンフレットを基に設計を試み、一日数十回の会議を開いて図面を修正したという。こうした努力を通して作られたK10は、2000年代末に韓国陸軍の配備決定を獲得、05年8月に最終開発に成功した。

 K10のような弾薬運搬車は米国も開発に成功したが、事業化には失敗した。高価な材料とパーツを用いたことでコストが過度に高くなり、重量まで増加して、事業性が落ちると判断したからだ。

 ハンファ・エアロスペースは22年9月に米国アリゾナ州のユマ射撃場で、米陸軍の自走砲事業関係者を招いてK9とK10の運用デモンストレーションを披露した。当時、米陸軍戦闘能力開発コマンド(DEVCOM)のエドモンド・マイルズ・ブラウン司令官(陸軍少将)は、自ら装備によじ登って隅々まで見て回り、「数十年前に米国の大砲をもらって使っていた国が、逆に米国に先端装備を持ってきてこんなイベントをするというのは感激」と語った-と伝えられている。

チョン・ジェファン記者

【動画】弾薬を自動補給する様子

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  • ▲K10弾薬運搬装甲車(写真左)とK9自走砲(右)。/写真=ハンファ・エアロスペース提供

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