しかし国民の力は、国会で憲法裁判官選出案が通過し次第、憲裁に権限争議審判を請求する方針だ。国民の力の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は「憲法上、大統領には国家元首としての地位と行政府首班としての地位がある」とし「拒否権や閣僚の任命は行政府首班の地位で可能であって、大法官や憲法裁判官の任命は国家元首の地位から出てくるものだから、大統領権限代行では不可能」と語った。
権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長も同じ立場だ。国民の力の徐知英(ソ・ジヨン)院内スポークスマンは「権限代行が『国家元首か、行政府首班か』というのは憲法的争点であって、憲裁に判断を任せてみたいという趣旨」と述べた。ナ・ギョンウォン議員は「弾劾審判は国会が検事のように起訴し、憲裁が(判事のように)判断するもの」としつつ「国会で憲法裁判官を推薦するのは、検事・判事をどちらもやりたいというものであって、果たして公正性を担保できるだろうか」と批判した。
韓国政界からは「与野党が韓悳洙大統領権限代行の権限を巡って自分たちに有利なように解釈することで、政局の不安定性をさらに大きくしている」という批判が出た。国民の力は最近、内乱特検法と金建希(キム・ゴンヒ)夫人に対する特検法への拒否権行使、国防部(省に相当)および行政安全部の長官任命などを韓権限代行に要請した。それにもかかわらず憲法裁判官の任命権は今の韓権限代行にはない、という立場を固守しているのだ。これを巡って「自己矛盾ではないか」という指摘が出ている。
逆に民主党は、両特検法に関して「清掃代行は清掃が本分であって、拒否権行使は越権」とし、韓権限代行が行使できる権限を低く評価した。政界関係者は「そんなことを言っておいて、憲法裁判官を任命しなければ弾劾訴追する、と乗り出すのはつじつまが合わない」と語った。
なお、国民の力指導部は26日の議員総会で、憲法裁判官任命に関して議員らの意見を集約することが分かった。国民の力の高位党職者は「権性東院内代表は議員の声を集約して、憲法裁判官の任命についての党の立場をどのように整理するか、最終的に決定するようだ」と語った。
キム・ヒョンウォン記者