進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行・首相を弾劾訴追しない条件として「空席になっている憲法裁判官3人の即時任命」を掲げた。民主党など野党各党は、与党が参加しない中で憲法裁判官候補者3人の聴聞会手続きを終えた状態だ。26日の本会議で3人の選出案を処理するはずで、韓権限代行は速やかに任命すべきだと要求しているのだ。民主党は、憲法裁判所の構成が早く終われば、それだけ尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾訴追事件の審理期間も短くなるとみていると伝えられている。
逆に保守系与党「国民の力」は、「任命反対」を固守している。今の韓権限代行には憲法裁判官の任命権限がなく、尹大統領弾劾が認められて初めて権限が生じる、というのが与党の主張だ。野党とは反対に、尹大統領の事件の憲裁における審理期間をできるだけ引き伸ばしたい、という計算も働いているものとみられる。これについて韓権限代行側は、与野党が政治的に解決すべき問題だとする立場だという。
現在、尹大統領弾劾訴追事件についての憲法裁判所の審理は「憲法裁判官6人体制」で行われている。裁判官9人のうち、国会が推薦していた3人は任期満了などで空席となったからだ。民主党などは、聴聞手続きを終えた趙漢暢(チョ・ハンチャン)=与党推薦=、馬恩赫(マ・ウンヒョク)、鄭桂先(チョン・ゲソン)=野党推薦=の各候補者についての憲法裁判官選出案を26日の本会議で処理する計画だ。
憲法裁判所が大統領弾劾を認めるには、裁判官6人以上の賛成が必要だ。野党関係者は「満場一致が必要な『6人体制』より『9人体勢』の方が、尹大統領弾劾決定が出る可能性はいっそう高いのではないだろうか」と語った。
韓国法曹界では、韓権限代行に憲法裁判官任命権限はあるとみる意見が優勢だ。今月17日、国会に出席した金正元(キム・ジョンウォン)憲法裁判所事務処長は「憲裁の裁判官が空席になったとき、大統領権限代行は任命権を行使できる」と述べた。大法院(最高裁に相当)の法院行政処も、民主党の白恵蓮(ペク・ヘリョン)議員のオフィスに提出した書面答弁書で「国会の人事聴聞で同意手続きを終えたら、任命は三権分立など憲法上の諸原則に違背しないだろうとみられる」とした。野党は、大法院のこうした解釈が憲法裁判官人事にも適用され得る、との判断だ。