こうした指示は趙志浩・韓国警察庁長がソウル警察庁に直接下していたことが、国会への報告資料で確認された。趙庁長は韓国警察庁警備局長経由でソウル警察庁の公共安全処長にこの指示を伝達した。韓国憲法は、戒厳状況において「言論・出版・集会・結社の自由、政府や裁判所の権限に関して、特別な措置を取ることができる」(77条)と定めているが、立法府の活動を制限する内容はない。むしろ「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求するときは、大統領はこれを解除しなければならない」という条項(77条)などを通して、立法府の活動を保護している。だが趙庁長は、非常戒厳布告令を根拠に国会を封鎖せよとソウル警察庁に直接指示したのだ。
金庁長が国会議員などの出入りを許していた時間は31分ほどで、190人の議員のうち相当数がこの時間に本会議場まで入ることができた。4日午前1時に190人の議員が出席する中、本会議が開かれ、賛成190人で非常戒厳解除要求が可決された。
警察の上級幹部は「金庁長は非常戒厳について法理検討を行った末、議員らの国会への出入りを警察が妨げる法的根拠は極めて弱いと考えた」とし「布告令後に全面規制が下されたことについても否定的だったが、警察庁長が直接指示を下し、やむを得ない側面があった」と語った。
野党側は4日に発議した尹大統領弾劾訴追案で、「国会議員多数の本会議への出入りを妨げ、国会の戒厳解除要求案の議事進行を阻害」した行為を弾劾事由かつ内乱罪の成立要件だとして適示した。これにより、韓国警察首脳部に対して国会議員の出入り規制を誰が、どの程度のレベルで指示したのかが今後の弾劾審判および内乱罪捜査などの争点になるかもしれない-という見方が出ている。
チュ・ヒョンシク記者、ク・アモ記者