■NewJeansとミン氏の結び付きも争点
仮にADORに責任が認められれば、違約金が減額される可能性はある。弁護士らは「違約金軽減のシナリオを判断する上では、メンバーが公開したミン氏支持の映像に注目すべきだ」と指摘する。盧弁護士は「ミン氏のプロデューシングが契約の前提条件であるか、グループ活動に重要な要素であれば、NewJeansに有利になる可能性がある」と話した。宋弁護士は「メンバーを練習生時代から育ててきた本部長級マネージャーが会社を離れたことを受け、グループもそれに追随して、勝訴したケースがある。所属事務所の経営陣変更がグループ活動と契約信頼関係に大きな影響を及ぼす恐れがあると解釈した事例だ」と述べた。その上で「誰がメンバーを初めて選抜し、人気を高めたのかについても双方が激しく対立することになりそうだ」とした。
NewJeansメンバーのハニがHYBE傘下の別の会社に所属するレーベルマネージャーから「放っておけ」と言われたという主張も重要な根拠となり得る。これに先立ち、労働庁は「芸能人の労働者としての性質が認められず、この問題に労働庁が措置を下すことは困難だ」とする趣旨の説明を行った。しかし、宋弁護士は「訴訟段階でメンバーは人格権の侵害を十分に問題視できる」と話した。盧弁護士は国政監査の過程でHYBEの内部文書として公開された「New(Jeans)を捨て、新しく組み直せばよい」という文言も「人格権侵害の根拠としてなり得る」と話した。
ただ、人格権侵害を主張する場合、傘下に複数の音盤企画会社を抱えるHYBEの独特なマルチレーベルシステムが争点になる可能性がある。盧弁護士は「メンバーが指摘した問題の主体が所属事務所のADORなのか、親会社のHYBEなのか見分けがつかない」とし、「異なる系列会社の社員間で中傷行為があっても、法理的には職場でのいじめではなく、会社感での感情対立と解釈される可能性が高い」と話した。
メンバーが勝訴しても、ADORに商標権が帰属する「NewJeans」という名称とこれまでの発表曲は使えない可能性が高い。チャン弁護士は「会社が使用を放置したとしても、追加精算と賠償問題が発生する恐れがある。契約効力停止の仮処分があっても、ファンが『NewJeans』としてのアルバムを購入した際、メンバーと所属事務所の収益分配構造まで清算されることはない」と説明した。
ユン・スジョン記者