居酒屋・お化け屋敷・書店…韓国各地で刑務所跡を活用した異色の試み

 この刑務所にはゾンビが群がる。幽霊も出没する。全羅北道益山市聖堂面「益山刑務所セット場」では、先月ホログラム技術で具現した幽霊体験「ホラー・ホログラム・フェスティバル」が開かれた。刑務所という強烈な現場性が恐怖を極大化する異色の空間として生まれ変わったのだ。イベント期間の8日間で訪れた訪問客だけでもざっと3万5000人だ。『インサイダーズ/内部者たち』『有益な詐欺』など300編に上る映画やドラマの撮影地として有名になり、今でもその効果は拡大し続けている。部屋脱出アプリを活用したプログラム「刑務所は生きている」、1泊2日のキャンプを装った「驚異的な監房生活」など、家族単位で楽しめるブースが複数ヒットしたためだ。

 実際の刑務所も変貌を遂げようとしている。50年の歴史を持つ全羅南道の旧長興刑務所は「パピヨンZip」として来月生まれ変わる。『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐(ふくしゅう)〜』『復讐代行人2~模範タクシー~』など韓国国内唯一の刑務所撮影所が複合文化施設として変貌するのだ。演武館は映画専門の書籍や資料を集めた「映画の本屋」で、女性囚人を収容していた女史棟は創作と執筆のための「文監獄」などに生まれ変わる。現代美術の展示「プリズナーレ(プリズン+ビエンナーレ)」、収監者に扮(ふん)した後、監獄の中をあちこち探検できるイベントも開かれる。新築や移転で遊休空間となったことで、5年前にここを買い入れた長興郡側は「今後思索と治癒の『更生文化発信地』として日常を振り返る空間になるよう構成する」と話した。

 犯罪と断罪、国民的念願が込められた人気コンテンツ。そして刑務所は作家なら一度は必ず行かなければならない所(?)となった。10月22日、エンターテインメント企業CJ ENMの若手の作家創作支援事業のオーペン(O'PEN)に所属する約30人の作家がソウル市九老区にある南部刑務所を訪れた。今後のドラマや映画の台本作業のための現場学習だという。百聞は一見にしかずなのだ。いろんな所を3時間かけて見回りながら、ディテールをチェックしたという作家のペ・ジヨン氏は「特に記憶に残ったのは独房の鉄門の重さ」とし「簡単に脱獄できないよう考案されたものだろうが、重い鉄門を開閉するたびに罪の重さを感じろという隠された意味があるように感じられた」と感想を語った。

チョン・サンヒョク記者

【写真】刑務所居酒屋「更生」

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  • ▲来月、文化空間「パピヨンZip」として変貌する旧長興刑務所の建物。/長興郡
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