次期米国大統領に当選したドナルド・トランプ氏の友邦国に対する国防予算増額の圧力を考慮し、台湾は最新ステルス戦闘機F35を最大60機購入することを含む150億ドル(現在のレートで約2兆3100億円。以下同じ)規模の米国製兵器購入案を検討中だという。フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が11月11日に報じた。
一方、中国は11月12日、殲20(J20)に続く2番目の第5世代ステルス戦闘機である殲35(J35)を、広東省で開幕した珠海エアショーで初めて一般に公開した。この日公開されたのは、空母艦載型のJ35と陸上配備型のJ35Aだ。
台湾政府内の議論に詳しい人々はFT紙の取材に対し、台湾が米国に依存的でなく、中国の攻撃に備えた自国の国防力強化に本気だということを示すために、最大60機のF35戦闘機や、ノースロップ・グラマン社の空中早期警戒機E-2Dアドバンスト・ホークアイ4機、米海軍を退役したイージス艦10隻、400基のパトリオット迎撃ミサイルを購入する案を検討中―と語った。
台湾の米国製先端兵器の大規模購入計画は、トランプ氏当選後、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟各国もトランプ氏の国防予算増額要求がいずれ強まるだろうと予想している中で判明した。
台湾政府の国家安全保障担当者らは、どのような種類の武器パッケージ購入が台湾の国防分野投資の意志を示すことができるか、トランプ氏のチームと「非公開の話し合い」を行っていると明かした。この関係者は「われわれが長い間関心を示していたものの、購入できずにいた多くの武器アイテムがある」と語った。
台湾の米国製兵器パッケージ購入案は、台湾の代表的な米国通で駐米代表部大使を務めた経験のある蕭美琴副総統と、呉釗燮外相が主導しているといわれている。
トランプ政権第1期で国防次官補代理(戦略・戦力開発担当)を務めたエルブリッジ・コルビー氏は最近、X(旧ツイッター)に「真に台湾のことを思う人間であるならば、台湾は国防費を急速に増額すべきだという事実を極めて明瞭に知らせなければならない。台湾の運命は不確実だ」と書き込んだ。
台湾国防部(省に相当)傘下のシンクタンク「国防安全研究院」の蘇紫雲・国防戦略資源研究所長は「希望の購入リストについて言うならば、今こそF35の購入を希望すべきとき。退役したタイコンデロガ級イージス巡洋艦やペリー級フリゲート艦が含まれる可能性もある」と語った。また、トランプ政権第1期で国防次官補代理(東アジア・太平洋担当)を務めたハイノ・クリンク氏は「実際に1期目のトランプ政権でも、台湾に対して過去最大規模の武器パッケージ販売が承認された」と語った。