中国は、防空網が貧弱な北朝鮮を相手にわざわざこんな技術を開発する必要はないだろう、とみています。射程も900キロくらいあれば北朝鮮をたたくには充分、というのが中国側の見方です。にもかかわらず射程がはるかに長く、迎撃回避機能まで備えた玄武5を開発したのは、事実上、濃密な防空網を備えた中国を狙ったものだ-というのが中国側の分析です。
■「潜水艦用のSLBMを開発するのか」とピリピリ
9軸の車両に設置した移動式発射台も同様です。移動式発射車両は、戦闘機の空襲などに備えて発射位置を隠すためのものですが、北朝鮮にそれほどの空軍力があるのか、というのです。
コールドローンチの発射方式にも懸念を見せています。玄武5を潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)として活用することもできるのです。SLBMを積んだ韓国海軍の潜水艦が西海に潜航して玄武5を発射したら中国全域が打撃範囲に入る、というわけです。
中国は、米軍が今年4月にフィリピン北部のルソン島に配備した中距離ミサイル「タイフォン」の部隊に頭を悩ませています。米国は、台湾侵攻抑止のため沖縄一帯にもタイフォンを配備する案を日本と協議中です。こうした状況で玄武5が大挙実戦配備されたら、米国の同盟諸国の中距離ミサイル包囲網に閉じ込められる、という分析が出ています。ある軍事ブロガーは「玄武5は北京、天津、瀋陽など華北や東北の主要都市はもちろん、青島の北海艦隊基地、寧波の東海艦隊基地なども攻撃できるだろう」と語りました。
■「国力に合った威嚇能力を持とうという狙い」
中国国内の専門家らは、韓国が単に北朝鮮の核の脅威に対応するにとどまらず、国力に見合った戦略的威嚇能力を構築しようとする狙いがある、とみています。長期的に米国・日本などと共に中国とロシアをけん制するための集団安全保障体制をつくろうとしているのではないか-という分析も行っています。
人民解放軍の大校(上級大佐)出身で、官営の中国中央テレビで軍事評論家をしている杜文竜は「大型ミサイルを9軸の移動式発射車両に載せて輸送と発射、保管を一体化するのは典型的な長距離ミサイルの輸送・発射方式」だとし「北朝鮮に対する大量報復にとどまらず、中国東部沿岸やロシア極東地域までたたく能力を備えようという意味」だと分析しました。その上で「米国の戦略的枠組みの中で支援を受け、アジア版NATO(北大西洋条約機構)のような体制を構築しようとする目標もあるのだろう」と語りました。
崔有植(チェ・ユシク)記者