韓国で価格暴落したシャインマスカット、新品種・輸入品種が入り乱れる「ブドウ戦国時代」に突入

 石川県はその後、韓国特許庁にルビーロマンの商標登録を申請したが、同庁は今年1月にそれを却下した。石川県は「(国立種子院への)品種名称登録取り消し手続きが進んでいる」と主張し、審査保留を要請し、特許庁は7月に受け入れた。2021年に既に品種名が登録され、農家31戸が生産・販売中であるため、登録取り消しの可能性は低いとみられる。

 しかし、流通業界は万一問題が生じるリスクを冒してまで販売には乗り出さない構えだ。百貨店関係者は、「3年前にルビーロマンのイベントを開いたが、商標問題以後はやっていない」と話した。

■新品種相次ぐ戦国時代

 日本が積極的に対応しているのは、「シャインマスカットを韓国に奪われた」という痛恨の過去があるためだ。シャインマスカットは1988年に日本で開発したが、人気になると予想できず、韓国の国立種子院に商標権登録を行わなかった。

 同じ時期に慶尚北道金泉市の農家が持ち込んで栽培し、2014年に国立種子院に生産販売を届け出た。日本にシャインマスカットのロイヤルティーを払わなくてもよいのはそのためだ。シャインマスカットは海外市場でもブームになっており、韓国は日本の5倍もシャインマスカットを輸出している。

 ルビーロマン以外に高級フルーツ界の覇権を狙う韓国のブドウ品種は「ジュエルマスカット」「ゴールドスイート」「ルビースイート」など10種類以上ある。ジュエルマスカットはシャインマスカットと似ているが、さらに高い糖度とシャキシャキした食感が特徴。ゴールドスイートは実がシャインマスカットより小さいが、リンゴのような食感にアカシアの香りがする。慶尚北道農業技術院で赤系のベニバラードとシャインマスカットを交配して誕生させたルビースイートは色、味、食感などでルビーロマンと非常に似た次世代有望品種だ。

 さらに綿菓子のような甘い味と香りがする「コットンキャンディー」(米国産)、細長い形が独特な「ブラックサファイア」(米国産)など輸入品種も競争に加わり、今や「ブドウ戦国時代」だ。

キム・ソンユン飲食専門記者

【グラフィック】シャインマスカットの次は…さまざまな高級ブドウ

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