フルーツの王様は没落するのか。韓国でシャインマスカットの価格が暴落している。9月のシャインマスカットの平均卸売価格(ソウル可楽市場)は2キログラム当たり1万1404ウォン(約1245円)で、同じ重量の巨峰(1万5993ウォン)に比べ約4600ウォン(29%)安かった。2021年9月には2万4639ウォンを付けたが、3年連続で下落し、半値になった。業界は10月も一段安となり、8000ウォン台にとどまるものと予想している。
【グラフィック】シャインマスカットの次は…さまざまな高級ブドウ
■過剰生産で味が低下
「ブドウ界のアイドル」「ブドウ界のエルメス」「貴族のブドウ」などと呼ばれ、高級フルーツ市場を掌握してきたシャインマスカット。一時は一房(約500グラム)で5万ウォンという超高値にもかかわらず、飛ぶように売れた。「シャインマスカットのせいで通帳がゼロになった」という証拠写真付きのSNS投稿も見られた。
シャインマスカットは高値にもかかわらず、希少性、糖度の高さ、シャキシャキとした食感、マンゴーのような香りで消費者を魅了した。しかし、誰彼構わず栽培に参入し、供給量が増え、単価が下落した。農家は過度に栽培面積を増やし、十分に生育していないブドウの木から収穫した物まで発売した。味が落ちたのは当然だ。消費者は「糖度が前よりも劣り皮も硬い」と不満を述べた。
流通業界はシャインマスカットの王座を継ぐ新しいブドウの新品種探しに血眼になっている。地元の農業研究所も品種開発に拍車をかけている。流通業界関係者は「イチゴ、リンゴなど、フルーツを品種別に選んで食べる消費者が増え、特にブドウは品種によって風味と味が明らかに異なり、他のフルーツよりもそうした傾向が目立つ」と話した。
■日本「ルビーロマンは奪われまい」
「ルビーロマン」はポストシャインマスカット時代に王座を獲得する最有力候補だ。世界で最も高価なブドウとして知られる。驚くなかれ、 2016年には日本の卸売市場での競りで1房110万円で落札された。実の数は30個ほどなので、1粒3万7000円という計算になる。ルビーのように赤いブドウの実は直径が3センチで卓球ボールほどある。 そして糖度も高い。
しかし、ルビーロマンは暗礁に乗り上げ、躍進できずにいる。石川県は「14年にわたって開発したルビーロマンが韓国に無断で流出した」とし、韓国国立種子院に品種名称登録の取り消しを申請した。韓国ではある種苗会社が2021年にルビーロマンという品種名を登録した。正確なルートは不明だが、何者かがルビーロマンの苗木を中国に密かに流出させ、韓国の農業関係者が中国から持ち込んだと推定される。