米制裁下で8ナノ半導体製造設備を開発? 誤報騒動の裏に中国の焦り

■中国専門メディアも「とんでもない混同」

 それでも中国のポータルサイトとソーシャルメディアには「国産の8ナノメートル露光装置が開発された」「西側による技術独占の中で中国の科学技術の実力を示した」といった文章が多数掲載されました。「中国の半導体自立能力を向上させ、全世界の科学技術の版図に変化をもたらすだろう」との主張もありました。

 しかし、このような主張が虚偽であることが明らかになるまで長くはかかりませんでした。西側の技術メディアはもちろん、中国国内の専門メディアですらすぐに「とんでもない混同」だと報じました。

 SMEEは中国国内では最も進んだ技術を持つ露光装置メーカーと言えますが、結果的にこの業者が作れる最新の露光装備はASMLが15年前に開発した製品と同じ水準だという点を際立たせた格好となりました。

 中国の半導体技術関連の報道はしっかり検証することが必要です。習近平国家主席が半導体自立を国家目標として掲げ、中国政府が巨額の半導体ファンドを創設すると、市場での検証を受けていない企業が技術力を水増しして公表するケースが増えているのです。

■「中国版エヌビディア」の没落

 中国国内では8月末、「中国版エヌビディア」と呼ばれた象帝先計算技術という画像処理装置(GPU)ファブレス設計業者が解散を宣言したと報じられ、大きな衝撃を与えました。

 象帝先は半導体設計専門家の唐志敏氏がが2020年に重慶で創業したスタートアップで、この2年間で自主開発したという「GPU天軍1・2号」を相次いで発表しました。中国国内では象帝先の企業価値が150億人民元(約3000億円)に達すると評価されていました。重慶市は6月、象帝先を今年のユニコーン企業に選定しました。

 そんな企業が突然会社解散を宣言し、社員400人を解雇したというから驚きです。中国メディアによると、同社が開発したGPUは、エヌビディアどころか、華為(ファーウェイ)のAIチップ「アセンド910」シリーズより性能が劣り、販路を見つからなかったということです。初期投資資金が底をつき、追加投資も途絶えると倒産の危機に追い込まれたのです。

■証券市場から追放も

 データセンター内のサーバー効率を最大化するデータ処理装置(DPU)の開発で注目を集めた北京左江科技も6月28日、金融詐欺の疑いで深セン証券取引所で上場廃止となりました。同社は一時株価が天井知らずで急騰しました。世界的なAIブームと中国政府の半導体育成政策の恩恵を受けるとの見方から投資が集中したのです。

 しかし、昨年11月、中国証券監督管理委員会(証監委)が調査した結果、販売実績などを大幅に水増ししていた事実が確認されました。顧客に販売したことになっていたDPUのほとんどが、同社の倉庫に山積みになっていたそうです。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】「中国が8ナノメートル製造プロセス用の露光装置を開発」 中国ポータルサイトに掲載されたブロガーの投稿

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