「スリムな国」世界4位ベトナムの砂糖と決別する決心【コラム】

■砂糖と決別する決心

 では、ベトナム政府はなぜ砂糖税を徴収しようとしているのでしょうか。税金を取り立てる口実に過ぎないでしょうか。児童の肥満率統計を見ると、その理由が分かります。

 ベトナムの児童肥満率は6.1%196位だった成人肥満率とは違い、順位は137位に上昇します。フランス、日本、オランダ、デンマーク、フィリピンの児童肥満率より高い数値です。韓国も児童肥満率は13.89%と高水準にあります。ベトナム保健省によると、2020年時点で過体重のベトナム児童は19%で、10年前よりも10.5ポイント増加しました。

 500ミリリットルにティースプーン20個分の砂糖(100グラム)が入るタピオカティーのような甘い飲み物が流行し、フォーやチャーハンのような伝統料理よりもピザ、ハンバーガー、チキンのような外国料理をたくさん食べるようになったことも影響しています。

 ホーチミン市やハノイ市のような大都市の場合、学校の3分の1以上の生徒が肥満だったそうです。太りすぎの5歳未満の子どもの割合は、ホーチミン市とハノイ市でそれぞれ20%、16%に達しました。

 ベトナムでも過去にはぽっちゃりしていることを「健康だ」と認識していました。特に祖父母が子育てを引き受けることが多いベトナムで「よく食べること」は孫たちができる最高の親孝行でもありました。

 しかし、今は砂糖と決別すべき時です。国連児童基金(ユニセフ)が「政府による適切な介入がなければ2030年までにベトナムの肥満児童数は約190万人に達する」と警告する事態になったからです。過去のように幼い子どもたちが家事を手伝うケースも減り、登下校にも両親のバイクを使うベトナムの学生たちは運動量が少ないという指摘も出ています。

 砂糖税は2014年にも一度推進された政策で、業界の反対で失敗に終わりました。今回も企業が反発しています。ベトナム酒類協会は「加糖飲料に特別消費税を徴収することは、肥満の解決ではなく、差別的な課税体系をつくるだけだ」とし、2025年以降に施行を議論しようと提案しています。経済学者も「肥満と税金の関係に対する研究がもっと必要だ」との意見です。このため「税収確保のための口実にすぎない」という疑いも完全には消えていません。

 砂糖税に検討する国はベトナムだけではありません。WHOによると、2022年以前は全世界で肥満児童より低体重児童が多かったが、コロナを経て肥満児童がさらに増えたと見込まれます。肥満、特に児童たちの過体重を悩む国が増え、学校から加糖飲料が締め出されています。砂糖税あるいは肥満税を導入している国は85カ国にもなります。アメリカのバーガーキングは2016年からキッズセットメニューから炭酸飲料を除外しています。英国政府は2018年に初めて砂糖税を導入し、フランスも2011年からコーラなどの炭酸飲料に肥満税を課しています。ベトナム政府が今回こそは肥満撲滅に刀を振り上げることができるのでしょうか。大好きな飲み物が10%値上がりするかどうか心配ですが、出費のことも考えて、飲み物の摂取を少し減らすべきでしょう。

李美智(イ・ミジ)記者

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