ベトナムでとりわけおいしいと感じる物があります。「炭酸飲料」もその一つです。大型スーパーを訪れると、韓国より種類が多いコーラ売り場に驚かされます。缶コーラも内容量やボトルの形がさまざまで、ライト、ゼロ、オリジナルなどの商品が売られています。韓国では主に缶コーヒーに使われる形の缶に入ったコーラもあります。330ミリリットル入りコーラ1缶の価格は500~600ウォン(55~66円)ほどと安い上、セールの際には390ミリリットルのミニペットボトルが350ウォンほどでも買うことができます。文字通り「水のように」飲めるんです。
エナジードリンクが人気なのもベトナムの特徴です。 中でも「スティング」はベトナムの若者たちが好むエナジードリンクです。 黄色のバージョンもありますが、イチゴ味の赤が一番おいしいです。蛍光色のような真っ赤な色が刺激的ですが、ロゴの下に描かれている「4年根紅参」のイラストのせいか、飲むとすぐに力が湧くような気がします。本当はドリンクに含まれる炭水化物、ナトリウム、カフェイン、タウリン、そして高いカロリーが力を出してくれるのでしょうが。
ベトナムでは大型スーパーやコンビニはもちろん、飲食店や屋台でも「レッドブル」や「ウォーリアー」「リポビタン」などのエナジードリンクが簡単に見つかります。スポーツドリンクも豊富です。ポカリスエットのようなイオン飲料に微炭酸が入ったアクエリアスは暑い夏に喉の渇きを解消するのに最適です。
炭酸飲料天国であるベトナムでは今、「砂糖税」導入の是非を巡る議論が行われています。 2014年に一度は反対に直面して見送られたものの、今回は本当に導入するというのです。ベトナムは肥満人口が少ない「スリムな国」の代表格なのに、なぜ砂糖税の導入を目指すのでしょうか。
■砂糖の国ベトナム
ベトナム財政省が今年法制化を目指している「特別消費税法改正案」によると、100ミリリットル当たり5グラム以上の糖を含む飲料は10%の特別消費税の課税対象になります。国民があまりにも多くの砂糖を摂取することが懸念されているからです。
実際にベトナム人は砂糖をたくさん食べます。ベトナムは牛乳にも砂糖を入れて売る国。パックに入った大きな牛乳を買うときも、砂糖入りか無糖かを確認しなければいけません。スーパーで買ってきた牛乳をコップに注いだら甘かった時の戸惑いを今でも覚えています。 (もちろん、今回の改正案では牛乳が対象から除外されています。)
路上で売っているフルーツジュースだけでなく、フォー(ライスヌードル)に加えたり、チャーゾー(揚げ春巻き)などにつけたりするヌックマム(魚醤)にも砂糖がたっぷり入っています。値段が400~500ウォンしかしない炭酸飲料もよく飲むものだから、 ベトナム人の1日当たり砂糖摂取量は平均46.5グラムで、世界保健機関(WHO)の推奨摂取量(25グラム)の2倍に迫ります。1人当たり清涼飲料水消費量は2002年の6.6リットルから2022年には49.54リットルに増えました。今後もその傾向は続き、2027年には55.7リットルまで増加すると予想されています。
しかし、ベトナムは世界で4番目にスリムな国です。 2023年現在のベトナムの肥満率(BMI指数30以上の人口の割合)は1.97%。これより肥満率が低い国はエチオピア、東ティモール、ルワンダだけです。ちなみにアメリカの肥満率は41.64%、韓国は8.82%でした。
甘い物を食べながらスリムになれたらどんなに素晴らしいことでしょうか。砂糖を食べてもスリムなベトナム人にはダイエット法があるのでしょうか。実際ベトナム人の食習慣を見てみると、砂糖は暑いベトナムで短時間でエネルギーを補給する手段であることは明らかです。醤油で炒めた野菜や数切れの肉とご飯一杯、あるいは一碗のフォーで食事を済ませ、力仕事をしなければならない肉体労働者には甘い砂糖とカフェインが必要にならざるを得ないのです。