韓国が「国債先進国クラブ」入り、期待される効果とは

 しかし、これまで韓国政府はWGBI組み入れのために外国人投資規制を緩和するためのさまざまな努力を傾けてきた。昨年1月に外国人の国債投資を非課税化し、同年12月には外国人投資家登録制を廃止した。今年6月には外国人が別途韓国国内に口座を開設しなくても韓国国債を購入できるように国際証券決済機構(ICSD)であるユーロクリア、クリアストリームに国債統合口座を開設した。7月には外国為替市場の取引時間を午後3時半までから午前2時までに延長した。そのため、「サプライズ」ではなく、当然の結果だとの見方もある。

■外国人資金の韓国流入効果…「金利低下し為替も安定」

 外国人は2600兆ウォン近い規模の韓国上場債券市場の10%に相当する約259兆ウォンを保有している。8月現在で外国人の韓国国債保有額は238兆ウォンだ。外国人は韓国債券の大半を国債で保有していることを意味する。WGBI組み入れで最大90兆ウォンの海外資金が国債市場に流入すれば、外国人の韓国国債保有額が38%も増えることになる。2021年10月、WGBIに組み入れられた中国直後の3カ月間に約2000億元(約4兆2000億円)の新規海外資金が国債市場に流入した。

 梨花女子大経済学科の石秉勲(ソク・ピョンフン)教授は「米国の投資家が別の投資先を探すために世界のさまざまな国の金融市場にシフトしているタイミングに組み入れ決定が重なり、韓国債券市場の魅力が増した」と話した。

 海外資金が大規模に流入し国債需要が増えれば、市中金利が低下し、企業の社債から住宅担保ローンまで金利が下がる可能性がある。昨年12月の金融研究院による研究では、WGBI組み入れで500億~600億ドルの外国人資金が流入すると、国債金利が0.2~0.6%低下する効果を生むと予想される。韓国銀行が政策金利を0.25%ずつ1~2回引き下げるのと同等の効果がある。韓国政府は年間最大1兆1000億ウォンの利払い費用を節減できると期待している。

 国債金利を基準に上乗せ金利を付ける社債や銀行債の金利が同時に低下する効果もある。企画財政部関係者は「韓国政府と企業の資金調達負担が減り、投資と分配が活性化され、実体経済も回復する効果が期待できる」と述べた。また、国債需要が増えればウォンの価値も高まり、ドルに対しウォン高になるとみられる。金融研究院によると、WGBI組み入れ後の1年間に600億ドルが流入すれば、ウォンは約4.8%上昇するとみられる。

 ただ韓国政府が「バリューアップ(企業価値改善)」に努めている株式市場では、今回の指数組み入れによる影響は間接的なものにとどまりそうだ。韓国開発研究院(KDI)のキム・ミル研究委員は「債券金利が低下し、利回りが下がれば、リスクを好む一部の投資家が株式市場にシフトすることはあり得る」と指摘した。

カン・ウリャン記者

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