前政権はこれら原発10基を「老朽原発」と規定し、廃炉を推進して再稼働を阻んだ。稼動年限満了の2~5年前の段階で韓水原は安全性評価報告書を提出し、稼働延長手続きを踏まなければならないが、脱原発政権下では関連作業が遅々として進まなかった。大統領選が終わった2022年4月、許可満了を1年後を控えてようやく古里2号機に対する延長手続きが始まった。
古里2号機は延長手続き開始から2年半、稼働中断から1年半が過ぎたが、まだ許可が下りていない。原発業界関係者は「工事再開の是非を巡り関心が集まった新ハンウル3・4号機の建設許可が9月12日にようやく下りたぐらいだ。当初今年上半期には古里2号機延長が決まり、来年には再稼動できるとみていたが、それさえも不透明だ」と話した。韓水原は古里2号機は来年6月、古里3・4号機は2026年6月の再稼働を目標にしているが、現状ではさらに遅延するとの見方が有力だ。
■2027年まで5年間に損失5兆ウォン
正常な原発が次々と停止することで生じる損失は、古里2号機がストップした昨年から2027年までの5年間で5兆ウォンに達する見通しだ。発電単価が安い原発を稼働できない代わりに、高価なLNG発電を行うことで余計にかかる費用を韓水原が試算した結果だ。稼働を中断する原発1基当たり1兆ウォンという計算だ。この数字も韓水原の目標通りに原発を再稼働できることを想定したものであり、実際の損失規模はさらに膨らむという観測が出ている。
既存の原発の許可延長が遅れ、AI普及に伴う電力需要の拡大にもタイムリーに対応するのは難しいとの懸念が高まっている。現政権の任期中に新ハンウル1・2号機、セウル3・4号機(旧新古里5・6号機)という新型原発4基(5600メガワット)が稼働を開始するが、同じ期間に停止する6基(5150メガワット)のうち1基も延長許可を受けられなければ、発電容量の純増分は450メガワットにとどまる。
檀国大のムン・ジュヒョン教授は「許可を出す原子力安全委員会や事業者である韓国水力原子力がもっと積極的に問題解決に取り組むべきだ。互いに責任を転嫁しており、タイムリーな許可延長がにできなかった際には、電力需給などに及ぼす悪影響は予想より大きいだろう」と話した。
趙宰希(チョ・ジェヒ)記者