文政権時代の脱原発政策で後遺症…古里原発3号機など10基が相次いで稼働中断

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権の「脱原発政策」によって、韓国では原発が相次いで稼働を中断している。昨年4月の古里2号機に続き、28日には古里3号機が運営許可満了で稼働を中断した。脱原発を掲げた前政権が原発10基の閉鎖を推進し、1基当たり数年かかる延長手続きを中断した影響だ。

 「脱原発政策廃棄」を掲げた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足し、チェコでの原発建設優先交渉対象者選定、新ハンウル3、4号機の工事再開など韓国は「脱・脱原発」に急いでいるが、脱原発の5年間、相当数の原発関連許認可と手続きなどがストップしてしまい、それを一度に解決するのは困難との指摘が出ている。

 AI(人工知能)の普及に伴う電力需要急増を控え、各国が新規原発の建設を急ぐ中で、韓国は逆に正常に稼働していた原発を止めているという批判が高まっている。35年間、脱原発政策を続けてきたイタリアは今年7月、原発再導入を宣言し、スイスも今年8月、新規原発容認法案を推進し、「脱・脱原発」に乗り出している。

 尹錫悦政権は2022年5月、大統領職引き継ぎ委員会が示した国政課題の時点から前政権が閉鎖を決めた原発10基を引き続き稼働する方針を表明した。AI、データセンター、電気自動車(EV)の普及などで電力需要が急増する中、原発の許可期間を従来の40年前後から70~80年に延長するのが世界的な傾向となっている点などを考慮した。

 しかし、前政権で5年間続いた脱原発政策は、今もスムーズな許可延長を妨げている。古里2号機と古里3号機がいずれも稼働を中断したほか、2029年までに稼動年限が満了し稼働を中断しなければならない原発は10基に達する。原発が相次いでストップし、電力不足への懸念が高まり、原発の代わりにコストが高い液化天然ガス(LNG)火力発電を行うことで生じる損失は数兆ウォンに達する見通しだ。原発が一つまた一つと消えることで、電力需給が危機を迎えかねないとの指摘も出ている。

■古里2号機以降、毎年1-2基が稼働中断

 韓国水力原子力は9月28日、釜山市機張郡にある古里3号機で原子炉の稼働を中断するための手続きに入った。発電容量950メガワットの古里3号機は1984年9月29日、40年間の運営許可を受け、翌年9月30日から稼働を開始し、28日で運営許可が満了した。この40年間、釜山市民全体の13年間分の電力需要に相当する2840億キロワット時の電力を生産してきたが、許可満了でストップしたのだ。

 こうした理由で原発が稼働を中断したのは、昨年4月の古里2号機に続き1年半ぶりだ。古里2・3号機以外にも来年8月と12月にそれぞれ古里4号機、ハンビッ1号機、2026年9月と11月にそれぞれハンビッ2号機と月城2号機が稼働を中断する。昨年から2029年まで稼動年限が満了する原発は10基、発電容量は合計8450メガワットに達する。

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  • ▲釜山市機張郡にある古里原発の全景/韓国水力原子力
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