状況は今年に入ってさらに悪化しています。ポータルサイト「網易」では、あるブロガーは7月初め、「匿名を要求する上海財政局のある職員が上半期の財政報告書の収支を合わせるため、市内の静安寺、竜華寺、玉仏寺などの寺院から100億元の短期資金を借りたと語った。うち正安寺が48億元で最も多額の資金を貸した」と投稿した。上海市の財政当局は直ちに「フェイクニュース」だと否認しましたが、資金源が途絶えた地方政府が寺院からお金を借りているという情報が絶えません。
中国政府も地方の財政難を認めながら、解決策づくりに乗り出しています。中国共産党は今年7月、習近平政権3期目の経済政策を提示した中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の決定文で、「消費税を段階的に地方政府に移転する」としました。李強首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で「各級政府はコスト削減に慣れなければならない」と指摘しています。
■超緊縮財政「接待も構内食堂で」
消費税は増値税(付加価値税)、企業所得税、個人所得税と並び中国の4大税目に挙げられます。酒類、たばこ、化粧品、貴金属、宝石、燃油、車両、ゴルフクラブ、高級時計、ヨット、電池などが課税対象です。主にぜいたく品や環境汚染の要因となる商品が課税されます。
中国の4大税目のうち、残る3つは中央政府と地方政府が分配していますが、消費税は全て中央政府の歳入となっています。地方政府の財政難を解消するため、その消費税の一部を地方に移転しようというのです。昨年の消費税収は1兆6100億元で、中国の税収全体の8.9%を占めました。
中国は税収全体の45%を中央政府、残る55%を地方政府で分け合う構造です。しかし、財政支出は地方政府が全体の85%を占め、はるかに多いのが現状です。教育、医療、養老年金など一般国民の生活と直結する支出は全て地方政府の役割です。消費税を一部の地方に移譲したとしても、不動産問題が解決されない限り、財政難を解消するのは容易ではない状況と言えます。
地方政府はさまざまな対策を打ち出しています。蘇州市政府は高速鉄道が整備された地域に出張する際に公用車の使用を禁止し、公務上の接待も構内食堂を使うように指示したといいます。安徽省政府は冬の暖房温度を20度以下、夏の冷房温度を26度以上とするよう通達しました。陝西省政府はオフィスのインテリア禁止令を出し、湖南省政府は公用車を8年、25万キロ以上使用するよう指示したということです。
崔有植(チェ・ユシク)記者