京都国際高校が8月の夏の甲子園で優勝し、大韓民国が歓喜に包まれた。わずか数年前まであまり知られていなかった小さな高校の野球部が甲子園で優勝するのはすごいことだ。ただこの優勝について韓国で報じられている内容を見るとあまりに違和感がある。韓国での報道はどれも京都国際高校の優勝を「韓国人の勝利」としており、あるラジオ番組では興奮のあまり司会者が「韓国の魂が勝った」と声を上げていた。
これに対して日本では京都国際高校の優勝を「韓国人の勝利」などとは誰も考えておらず、「京都の誇り」と考えている。甲子園球場に応援にやって来た2800人の応援団もほとんどが京都府民と京都国際高校や周辺の高校の生徒だった。
在日韓国人でも京都国際高校を韓国学校と勘違いしている人が多いが、京都国際高校は法的にも実質的にも日本の学校だ。20年前に日本の文部科学省から認可を受け、文部科学省が指定する学習指導要領に沿って教育を行っており、日本政府から援助金も受けている。およそ160人いる生徒もほとんどが日本人で、61人の野球部員もほぼ全員が日本人だ。
しかも実際のところ韓国では高校野球などほぼ忘れられているのに、日本の高校野球に強い関心を持つのは全くもっておかしい。本当の理由はおそらく韓国語の校歌がテレビで放映され、その歌詞に「東海」という言葉が入っているからだろう。
ここで「不都合な真実」について言えば、甲子園で「東海」という言葉が響いたとしても、日本人が「日本海」を「東海」に変える確率はゼロだ。日本人の中で「東海表記」を支持する声など聞いたことがないし、何よりも日本の地図にはこれとは別の「東海」がある。愛知県など太平洋に面する四つの県をまとめて「東海」地方と記載し「とうかい」と読む。すでに「東海」が存在するのに、その反対側をまた「東海」と呼ぶなどあり得るだろうか。
歌詞に「東海」が入った韓国語の校歌に対しては京都国際高校内部からも見直しを求める声が出ている。今回京都国際高校を優勝に導いた小牧憲継監督はテレビ放映されたインタビューで「数年前から校歌の変更を学校に訴えてきたが、学校側はこれを黙殺している」と堂々と批判した。小牧監督は「京都国際高校は日本語、英語、韓国語の教育を強みにしているのだから、校歌も3カ国語を使って新しく作ってくれ」と要求している。京都国際高校でスカウトを担当する岩淵雄太コーチも小牧監督と同じ考えで、時代の変化に合わせてKポップのような校歌を最初から作るよう訴えているという。
「東海」という言葉が入った韓国語の校歌から民族の誇りを感じた方々には申し訳ないが、「不都合な真実」は実はまだある。京都国際高校野球部員のほとんどが校歌の意味が分からないそうだ。ある生徒は歌詞が分からないので「口パク」をしているという。日本の複数のメディアの報道をまとめると、野球部員のほとんどが野球がやりたくて京都国際高校に来たのであって、韓国に対して特別な関心があるわけではないらしい。例えば61人の野球部員で唯一韓国籍を持つ金本祐伍君も京都国際高校に入学するまで自分が韓国籍という事実さえ知らなかったそうだ。