国から与えられる現金に慣れた国民が、自分の人生を自ら切り開くことはできないだろう。サウジアラビアの未来を懸念する知識人たちは「国が国民を物乞いにしている」と嘆いている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの編集長を務めたカレン・ハウス氏の著書『サウジアラビア』には、現金性の福祉に慣れたサウジアラビアの人々がいかに受け身であるかを示す笑い話が載っている。ある日、国王が交通量の多い道路に検問所を設置し、自国の民がどれだけ従順かを試した。検問所が突然設置されたため渋滞が起きたが、誰一人として文句を言う者はいなかった。警察官を派遣して身分確認の作業をさせると、列はさらに長くなったが、それでも皆素直に従った。最後には極端な方法を試みた。通行人を並ばせ、理由もなくたたいた上で、たたかれた者だけが身分確認を受けて通過できるようにした。すると列はさらに長くなり、ついにある市民が抗議した。「もう1時間も待ち続けている。こういう時は、2人でたたいた方が列が短くなるのではないか?」
原油埋蔵量1位と2位の国がどちらもこの有様だということを見過ごすことはできない。ただし、ベネズエラはチャベス氏に続き、彼の路線を踏襲するマドゥロ氏が政権を握ったことでひどく破綻したが、サウジは次期国王のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が「石油以降のサウジ」を模索しているという点が異なる。ムハンマド皇太子は、現金型福祉に依存する「サウジ病」を治療したいと考えている。また、かつてのサッチャー英首相が過剰な福祉と産業の非効率性に象徴される「英国病」をどのように克服したのかにも関心が高い。国家指導者が国民に金を与えるだけでは未来がないという事実を理解していることは重要だ。しかし、韓国の一部の政治家は、その道を進むのが良いと言っている。このような政治家たちが歩みを止めないのなら、国民が行く手を阻まなければならない。
金泰勲(キム・テフン)論説委員