「2026国際サッカー連盟(FIFA)北中米ワールドカップ(W杯)」アジア最終予選グループB第1戦・韓国対パレスチナの試合が行われた5日、ソウル・ワールドカップ・スタジアム。0-0の引き分けで試合が終わると、観客席からブーイングがわき起こった。FIFAランキング96位のパレスチナに23位の韓国がここまで苦戦するとは思わなかったからだ。そのブーイングの多くが同日、10年ぶりに韓国代表チームの指揮をとり、W杯アジア最終予選の初戦に臨んだ洪明甫(ホン・ミョンボ)韓国代表監督(55)に向けられたものだった。大韓サッカー協会は同氏の代表監督選任過程で少なからぬ手続きを無視した。監督選任機能を担う戦力強化委員会の意見をろくに聞かず、理事会の議決過程もすっ飛ばしたと批判されている。また、洪明甫監督は韓国プロサッカー・Kリーグのチームの監督だったが、その最中に「チームを捨てていなくなった」との非難を浴びている。それも、「代表監督は引き受けない」と公言していたのに、それを覆したため、ひときわ強い怒りを買っている。
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洪明甫監督としてはこの日の試合で挽回(ばんかい)する必要があった。ところが、結果はさらなる失望を招いた。韓国代表チーム公式応援団「赤い悪魔(レッド・デビルズ)」も失望のあまり愚痴とブーイングを浴びせた。ところがこの時、韓国代表のDF金ミン哉(キム・ミンジェ、27)=バイエルン・ミュンヘン=は応援席の方に向かって歩いていき、ブーイングを控えてほしいと要求するようなジェスチャーをした。腰に両腕を当てて「お願いします」と叫んだのだ。金ミン哉は「我々(韓国代表選手)がうまくプレーできないことを一部のファンが願っているように思ったため、そう言った。我々が最初からうまくできなかったわけではないのに、ブーイングが聞こえた」「深刻な状況ではまったくなかった。ただ、選手たちを応援してくれればうれしいと申し上げただけ」と言いながらも、「考え方次第だから、深刻に受け止める方はそれでいい」とも言った。
すると、サッカー関連インターネット・コミュニティー・サイトなどでは非難の声が相次いだ。「やじは選手が耐えなければならない問題」「やじられたからって観客席に走ってくる選手がどこにいるんだ」「(ドイツの)所属チームで批判された時は何も言わなかったのに。韓国のファンをなめているのか」などの声だ。ファンの一部は交流サイト(SNS)の金ミン哉のアカウントに非難する書き込みをして炎上させた。その一方で、「(やじは)選手たちに向けられたものではない。手続きを無視して監督の座に就いた洪明甫に対して向けられたものだ」「金ミン哉が悪口を言われる筋合いはない。ブーイングが多すぎた」「ホームゲームで負けることを願うブーイングをするのは低俗な行為だ」などの反論も相次いでいる。