「中国で取材するのは大変」 西側特派員が続々と離任

ニューヨーク・タイムズ10人→2人、ワシントン・ポスト2人→0人

 記者だけではない。外国人学者たちの中国における活動も大幅に狭まった。中国本土の大学で博士課程を経たり、研究者として働いたりしている外国人は「中国内部ではなく『自分自身の国』に対する論文を書け」と圧力を加えられるという。中国のあるグローバル研究所の関係者は「心理的なプレッシャーにより、外国人学者たちはプライベートな場よりも政府の許可を受けて開催されるフォーラムで発言することの方を楽に思っている」と語った。英BBCは「香港国家安全維持法施行以降の2021年から22年までで香港の8つの公立大学を離れた学者は360人に達する」と報じた。香港における外国人学生登録は2019年以降で13%減っている。

 外国のコンサルタント企業の撤退も加速している。昨年下半期から中国当局は「国家安保と密接な情報の流出が懸念される」としてベイン・アンド・カンパニーやミンツなど米コンサルティング企業などに対する厳しい調査を行った。中国に否定的な統計などを発表してきた米ギャラップ社は昨年、30年目にして中国撤退を決めた。

 エコノミストは「中国最高指導部が『世界の中心』に跳躍する時期だと宣言したため、外国人の声を遮断することになった」と分析している。米国との関係悪化で外部との断絶が加速化している状況で中国の自信が強まったため、世界に自国の基準と哲学を強要するようになったということだ。事実、かつては中国の改革派が外信や外国専門家の批判を国内で引用するケースがしばしばあったが、今は中国マスコミの外信報道まで制限されている状況だ。戦狼外交(オオカミ戦士外交=攻撃的な外交)路線の中、中国の外交官や学者は対外的な意思疎通よりも中国における立場を守ることに集中している。

 ただし、中国は外国人のこのような不満に対して悔しさと怒りを感じている様子だ。「中国が急速に超大国に浮上するや、米国をはじめとする西側諸国がけん制に乗り出した。外国メディアと機関の批判は中国を攻撃するための名分づくりだ」と強調している。

 何とかして中国に残ろうと考えている外国人記者やコンサルタント企業各社も情報獲得の難しさを訴えている。中国の高官や専門家との接触が難しくなったのもあるが、公信力のある資料を手に入れることも難しい。中国の有料金融データ提供業者「Wind(ウィンド)」で更新されない統計がますます増えているほか、政府が昨年、若者の失業率発表を中止したように、突然統計を非公開に切り替えることもある。グーグルやフェイスブックなど海外サイトへのアクセスを遮断した中国当局は、インターネット監視網をかいくぐる仮想プライベートネットワーク(VPN)も厳しく規制し始めた。インターネット検閲を監視する米国の非営利団体「グレート・ファイア」はこのほど、「VPNソフトウェアを提供する主要業者Express VPN(エクスプレスVPN)とAstrill VPN(アストリルVPN)の中国サービス利用速度が60日間でそれぞれ41%と11%遅くなった」と明らかにした。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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