外交部の元高官も「昨年11月の習近平主席と米国のバイデン大統領の会談以降、中国は対米関係を『管理モード』に変えた」「それと同時に米国の同盟国・友邦国との関係も、もう少し融和的に持っていきたいという決定を行ったものとみられる」と語った。今年、米国の首都ワシントンと西部サンディエゴ・サンフランシスコの動物園へ新たにパンダを贈ることとし、「パンダ外交」を復活させたのが象徴的な場面だ。
米国の同盟・友邦諸国に対する中国の態度も変化した。韓日中3カ国首脳会議が復活した今年5月、習主席は5年ぶりに欧州歴訪に乗り出し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領などと会談した。7月には中国外交部の馬朝旭・副部長が日本と韓国を相次いで訪問し、日中、韓中外務次官戦略対話をそれぞれ4年半ぶり、2年7カ月ぶりに復活させた。つい最近の8月19日には、ベトナム共産党のトー・ラム書記長を中国に招いた。
外国に対する攻撃的な発言にふけっていた「戦狼外交官」も一線から退いた。中国は、戦狼外交官の先鋒(せんぽう)だった趙立堅・外交部報道官を昨年1月に辺境海洋事務司の副司長という低い地位に異動させた。尹錫悦政権と衝突していたケイ海明・駐韓中国大使も、予想より早い7月上旬に帰国させた。
しかし、こうした変化は一時的な「戦術修正」に過ぎず、根本的な「戦略変更」ではない、という分析は多い。習主席は昨年12月、外交分野の最高会議である中央外事工作会議を招集して「強国建設、民族復興の偉業を全面的に推進する上でより有利な国際環境を造成し、堅実な戦略的支援を提供しなければならない」と語った。ソウルのある外交消息筋は「非公開の会議の席では、中国の立場を以前よりもさらに強く押し出して圧迫している」とし「国家的イメージ管理のため方法を変えただけで、対内的環境が良くなれば、またいつでも戦狼外交をやりかねない」と語った。
金真明(キム・ジンミョン)記者