韓中関係の行き詰まりや新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で中断していた韓中の対話と交流が、次々と復活している。韓中関係に「薫風」が吹いている背景を巡っては、中国政府のグローバル「戦術」の修正がある、という分析が支配的だ。中国当局が、戦狼(せんろう)外交に代表される露骨な強圧戦術は各国の反中感情をあおるばかりだったと判断して、国際社会における世論管理に入り、その一環として韓国との対話も復元させている-という話だ。ただし「中華民族の偉大な復興」という習近平主席の目標と根本的戦略が変更されたわけではない、という分析も出ている。
【動画】火鍋を食べていた中国人女性が具材のシャコに反撃される
韓国産業通商資源部(産業部。省に相当。以下同じ)の鄭仁教(チョン・インギョ)通商交渉本部長は8月20日、中国・山東省済南市を訪れ、経済通商協力交流会を開催した。産業部と山東省人民政府間の対面会議が復活するのは2019年以来、5年ぶりだ。その前日の19日、外交部では、韓中青年交流の一環として中国・北京と青海を訪れる青年50人から成る韓国代表団の発隊式が行われた。19年以来中断していた韓中青年交流は、今年5月、韓日中3カ国首脳会議に出席するため来韓した中国の李強首相と、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の2国間会談において、人的交流を拡大すると合意したことにより5年ぶりに復活した。
5月の韓日中3カ国首脳会議は、中国の変化を示す「信号弾」だった。2019年12月の中国・成都における会議を最後に中断していた韓日中3カ国首脳会議は、次期開催国である韓国の再開要請に中国が微温的な反応を示し続け、4年以上も中断したままだった。ところが今年に入って、中国が前向きな態度を取り、4年5カ月ぶりに首脳会議が再開できた。3カ国首脳会議の直前には、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相が中国の王毅外相の招請で北京を訪れ、2国間会談を行った。韓国外相が北京を訪れるのも6年6カ月ぶりのことだった。
中央政府レベルの対話が復活すると、地方自治体間の交流も増えた。4月の遼寧省党書記、6月の江蘇省党書記などの来韓に続いて、8月上旬には甘粛省副書記が韓国を訪れた。呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も7月末に北京を訪れ、殷勇・北京市長と会談した。
外交関係者らは、こうした変化の背後には、昨年から明らかになりつつあった中国の対外戦術の変更が存在する、とみている。パク・ピョングァン国家安保戦略研究院首席研究委員は「経済の不安定や高い青年失業率など、習主席は対内・対外的に解決すべき課題があまりに多い。『内憂外患』の状況をつくらないようにするため、管理モードに転換せねばならなかったのだろう」と語った。