青い珊瑚礁【朝鮮日報コラム】

韓流コンテンツの全盛期を引き寄せた1998年の日本大衆文化の開放
韓日関係改善の先頭に立った故・金大中大統領も「NewJeansおじさん」までは予測できなかったはず

 ガールズグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」のメンバーのハニが6月末、東京ドームで1980年代の日本の国民的歌謡「青い珊瑚(さんご)礁」を歌った動画は、今も再生回数を急速に伸ばしている。「NewJeansおじさん」と呼ばれるおじさんファンたちがりりしい声で大合唱するのが印象的だ。多くの動画のほとんどが、現場でスマートフォンにより撮影されたものだ。再生数が数百万回を超えたものも数え切れないほど多い。1カ月にもおよぶ反響が続いている。

【写真】「青い珊瑚礁」を熱唱するNewJeansハニ

 彼らと同世代の筆者は「鉄腕アトム」「未来少年コナン」「銀河鉄道999」を見て幼年期を過ごした。放課後のテレビアニメの視聴が「国のルール」だった時代だ。全てが日本のアニメだったということを後で知った。「主題歌を歌っていたのはキム・グクファンさんだったが、チョッパリ(日本をさげすむ言葉)のアニメだったとは」と激怒する子どもたちも見受けられた。このように「倭色」を侮蔑・軽蔑する社会的雰囲気の中で、どうやって地上波テレビが毎日のように日本のアニメを放映していたのか、幼心にも疑問だった。

 日本文化の味を味わった韓国の10代は、それぞれ「闇の経路」を開拓した。竜山電子商店街や明洞の中国大使館前の日本の本屋のような「日本文化の聖地」が地域ごとに存在した。日本のコンテンツに小遣いを費やしながらも、それを堂々と公表することはできなかった。ややもすると「親日派」「売国奴」と罵倒されがちだったからだ。陰でのみ消費されてきた日本文化の地位は1998年秋、突如として日の目を見るようになる。国際映画祭の受賞作である『影武者』『花火』『うなぎ』に続き『ラブレター』が劇場公開されたのだ。出版物、アニメーション、アルバム、ゲームも韓国に次々と上陸した。

 「これでいいのか」と思いたくなるほど、突然の変化だった。一部では、退廃的な倭色文化の氾濫、韓国文化の崩壊を懸念した。過去、日本が大衆文化の開放を巡り圧力を掛けてくるたびに、韓国政府が掲げてきた論理も同じようなものだった。ところが現実は正反対だった。ドラマ『冬のソナタ』が日本で空前のヒットを記録したことで「ヨン様」ブームが巻き起こり、日本に進出した歌手BoAは現地アルバムチャートや授賞式を席巻した。『宮廷女官チャングムの誓い』をはじめとする韓国ドラマや映画、Kポップ歌手たちの海外進出のニュースが相次いだ。韓流はこうして胎動した。

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