最終的にウクライナ軍は、この「水素爆弾」を配達するラジコンカーを、ロシア軍が守っている骨材工場まで遠隔操縦することに成功した。この爆弾配達ラジコンカーは、まだ破壊されていない工場の東側の橋を渡った。近くに生い茂る木々のせいで、工場の屋上から見下ろしているロシア軍はこれを見ることができなかった。
爆発後、すぐに巨大な火炎が吹き上がった。これはロシア軍が骨材工場に相当量の弾薬を備蓄していたことを示唆する、とウクライナ側のメディアは伝えた。
もちろん、一般的な水素自動車の水素タンクは、内外の圧力や衝突でも決して爆発しないように、鉄よりも10倍も高い強度を持つ炭素繊維強化プラスチックで作ってあり、非常に安全だ。トヨタも当然、自社の車の水素タンクが衝突によって大爆発を起こしたという広報をするつもりはないだろう。しかし、水素タンクの外側をプラスチック爆弾で覆った場合は話が別だ。
英国の日刊紙「ザ・サン」は「トヨタのMIRAIの水素タンクを爆弾として使ったことは、製品本来の意図とは関係なく、戦場において技術がどのように予測不能な形で応用されるかを示してくれる一例」と評した。
結局、ロシア軍はこの骨材工場から後退し、市の奪還を図っていたウクライナ軍は、ロシア軍による圧迫の環を断ち切ることができた。
翌7月29日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と軍指導部は、最前線であるここボウチャンスクを訪れ、勲章を授与してここを守る将兵を激励した。
李哲民(イ・チョルミン)記者